自律神経失調症に分類される13の症状と病気

2017/11/10

特定の病名がつけられることもある

自律神経失調症の定義や概念はまだ確立されていないため、別の病名がつけられるケースもあります。
「不定愁訴症候群」と呼ばれることもあります。不定愁訴とは自律神経性のさまざまな不快症状が現れたり消えたりする症状です。
また、閉経期の女性に見られる、いわゆる「更年期障害」だけを自律神経失調症とする医師もいます。そのほか、特定の臓器や器官に限って症状が強く現れている場合は、「過敏性腸症候群」や「節緊張性癖痛」のように、臓器や部位別の病名がつけられる場合もあります。

自律神経失調症に分類される

心身神経症

息切れや動悸、呼吸困難、胸痛、疲れやすいなどの症状が見られます。しかし、心電図などの検査をしても、器質的な異常は発見できません。これらの症状は女性に多く見られ、心理的なストレスが誘因と考えられています。

不整脈

人間の脈拍は、通常、1分間に60~90くらいの速度で規則的に繰り返えされます。これが遠くなったり遅くなったり、あるいは抜けたりする状態を不整脈といいます。
多くは動脈硬化や甲状腺機能元進症などの病気が原因で現れますが、過労や神経過敏、睡眠不足などが誘因となることもあります。

起立失調症候群

急に立ち上がったときに、めまいや立ちくらみ、頭痛などに見舞われるもので、ひどいときは失神を起こすこともあります。
別名、「起立性低血圧」ともいいます。本来、自律神経はどのような姿勢をとっているときでも、脳を循環する血液の量が変化しないように、血管を収縮させて一定量の血液を脳に送る働きをしています。ところが、自律神経の機能が弱っているときは、急に立ち上がったり姿勢を変えたりすると、脳に十分血液を送ることができません。
そのため、めまいや立ちくらみなどが起こってしまうのです。これは、やせ型で顔色が青白く、手足が冷たくて、性格的には神経質なタイプに多く見られます。

起立性関節障害

小学校の高学年から高校生くらいまでの思春期に起こる症状で、「起立失調症候群」ともいわれています。
朝礼で長時間立っているときや、入浴中に気分が悪くなったり、めまい、立ちくらみ、頭痛などが起こります。1日では、とくに朝が不調で、季節では春先から夏にかけての時期に起こりやすいようです。

過呼吸症候群

「過呼吸症候群」あるいは「神経性呼吸困難」とも呼ばれるもので、突然、酸欠状態のような息苦しさをおぼえ、呼吸が荒くなります。
その結果、血液中の酸素の濃度が高くなり、二酸化炭素の濃度が低下し、血液がアルカローシスになって、手足のしびれや脱力感に襲われます。
ときには失神してしまうこともあります。とくに若い女性に多く見られる症状で、精神的ストレスや不安、緊張などが原因です。このような症状が起こつたときは、ロと鼻を両手で覆うか、紙袋を当てがって呼吸をするようにします。自分が吐いた二酸化炭素を再び吸うことで、肺の中の二酸化炭素の量が増え、呼吸が楽になります。

神経性嘔吐症

とくにこれといった病気でもないのに、たびたび吐き気をもよおしたり、嘔吐を繰り返します。転校・転勤などで環境が変わったときや、たまったストレスを発散できないときによく見られる症状です。

片頭痛

まるで頭の中で脈を打っているように、ズキンズキンと側頭部が激しく痛みます。片側だけのこともあれば、両側が痛む場合もあります。環境の変化や心理的なストレスが誘因になりますが、遺伝も関係しています。女性に多く見られ、思春期のころから発症します。
片頭痛についての症状や痛みを抑える方法はこちら

緊張性頭痛

首から後頭部にかけて鈍い痛みを感じ、肩こりや背中のこりを伴うことがあります。頭痛のうちで最も多い症状で、30~〜50歳代の人によく見られます。精神的なストレスや過労、気圧の変化などによって、頭、首筋、肩の筋肉が緊張して収縮するために起こるものです。また、同じ姿勢で長時間デスクワークを続けたときもよく起こります。
緊張型頭痛ともよばれます。

蕁麻疹

疲労や精神的ストレスで心身が弱っているときに「コリン性じんましん」が出ることがあります。とくに、疲労が蓄積されてくる夕方以降に症状がひどくなり、全身みみずはれのようになnノます。また、「青魚を食べるとじんましんが出る」といった自己暗示が自律神経や免疫機能に影響して、症状を引き起こすこともあります。

口腔内異常感症

口の中がカラカラに乾いたり、味覚がなくなったり、苦みを強く感じるなどの不快感があるとき、この病名がつけられます。
糖尿病などの内科的疾患や、薬の副作用でも同様の症状が起こることがありますが、そのような原因がない場合は、精神的なストレスが誘因になっていると考えられます。

膀胱神経症

頻尿や残席感、下腹部の不快感、排尿痛などの自覚症状があるのに、勝胱にも腎臓にも器質的な異常は見られません。これも、精神的なストレスが高じて自律神経が過敏になっているために現れるものです。

乗り物酔い

乗り物の振動や加速度によって内耳が刺激を受け、吐き気、嘔吐、なまつば、冷や汗、顔面蒼白などの病的症状が起こります。自律神経の影響のほか、睡眠不足や過労などによる体調の乱れ、性格などが関係しています。

めまい

体がフラフラするように感じる浮動性のめまいは、過労や心理的なものが原因で自律神経が乱れたときに起こります。周囲がグルグル回るように感じる回転性のめまいは、「メニュール病」や「動脈硬化性循囁障害」、「脳腫瘍」など、内耳や脳の障害も考えられますから、放置しておかず、病院で診てもらう必要があります。

心因性性障害

性器には異常がないのに、正常な性行為ができない場合、この病名がつけられます。女性の場合は不感症や性交不能症、男性の場合はインポテンツや早漏、射精不能などの症状があります。原因として、性行為に対する罪悪感や羞恥心、幼児期の体験などが考えられます。

更年期障害

女性は、更年期になると卵巣機能が衰え、ホルモンの分泌が低下し、閉経を迎えます。女性にとっては精神的にも肉体的にも影響を受けやすい時期であり、それに加えてホルモンのバランスの乱れが自律神経にも影響を与えるため、さまざまな症状が現れやすくなります。