ぬいぐるみ療法

2017-12-05

ふわふわパワー

よくおすすめするもう1つの方法が「ぬいぐるみ療法」です。好きなぬいぐるみに、1日に何回も話しかけたり、だっこして一緒に寝たりします。
他愛なく、場合によっては「ええ? 」と感じる方法かもしれません。ところが、これも続けていると明らかに自分が変わってくるのです。

これは、行動によって心に働きかけ、心を変えていく行動療法の1つです。心をおおっている固いから殻を、ぬいぐるみを用いることで、破りやすくするのです。その変化がまわりの人にも伝わり、心の不調は目に見えてよくなっていきます。

まず、お気に入りのぬいぐるみを1一つ、手に入れてください。心からかわいいと思うものを選びましょう。少し大きめの、抱き心地のよいものがいいでしょう。
そして、短く、シンプルな名前をつけます。たとえば「モモ」とか「クマちゃん」とかです。このぬいぐるみを、いつも目に入るところに置いておき、1日に何十回も呼びかけます。ベッドで一緒に寝たり、しょっちゅう抱っこするのもいいでしょう。

こういうアドバイスをしていると、途中で「そんな気持ち悪い話を聞くためにわざわざ足を運んできたんじゃないんです。もっと有意義な話をしてください」とにらむ方もいるくらいです。でも、とにかく、実践してみてください。不思議なくらい気持ちが安らぎ、ほっと安心できます。

ぬいぐるみに話しかけたり、一緒に寝たりすることを通して、「自分のいいたいことを率直に口に出す」「自分の意思を態度に示す」といったことを、無意識的に練習しているわけです。

また、いいおとながぬいぐるみを抱っこしたり、おんぶすることには、おとなはこんなことはしないものだという世間知をぶち壊す目的も含まれています。
ペットでもいいのですが、ここまでの効果は期待できません。ペットには命があり、意志があり、感情があり、それなりの反応があるからです。自分の心の声を吸い取ってくれる存在にはならないのです。
うつ傾向の方のなかには、ペットの世話が負担になる場合もあります。だから、ぬいぐるみがいちばん、というわけなのです。