脳の老化を防ぐには「ちんたら運動」がいい

うつ病に陥る人は、脳のストレスを抱えて老化もすすんでいるケースが多々あります。脳の老化を防ぐにはどうしたらいいでしょうか?

ストイックなトレーニンクは禁物

生活習慣病の原因の1つに運動不足が挙げられるように、健康と運動の関係はよく知られてきました。運動は体の衰えだけではなく、脳の老化を防ぐということもわかってきました。

スコットランドのエディンバラ大学の研究チームは、70代の脳のMRI検査から、「ウォーキングを週に数回行なったり、体操を続けていた70歳代の高齢者は、脳の萎縮が少なく、脳の老化の兆候を示すものも少なかった」と発表しています。その一方で、知的な精神活動や社会的な活動への参加では、脳へのよい影響は見ら判れなかったといいます。

つまり、脳の老化を防ぐには、脳トレよりもウォーキングが効果的ということになります。日本でも、中年期に汗ばむ程度の運動習慣がある人は、老年期の体の衰えが少なく、認知症になるリスクも少ない、あるいは、高齢者は炊事・散歩・軽い体操などが長生きの秘訣である、という研究がなされています。

たしかに運動は体にも脳にもいい。ただし、真面目な人はそこでスポーツジムなどに通って一生懸命運動してしまいがちです。ポイントは、中高年になったらウォーキングや散歩や軽い体操で十分なのです。看い頃から運動をしている人でも、運動のしすぎはかえって体を壊します。

スポーツをしているから健康である、とは言えないのです。実際、体育会系の出身者は、文科系・理科系の出身者よりも平均寿命が約6歳短いとも言われます。

さらに、日常的に激しい運動をしているスポーツ選手は寿命が短いのです。トップアスリートが、引退後によく病気をして早死にするケースは多いでしょう。

国際オリンピック委員会によるこんな報告もあります。「オリンピックのメダリストたちの平均寿命は、メダルをとれなかったオリンピック参加選手たちの平均寿命よりも7〜8年短い」(1992年)。同じオリンピック選手でも、メダルをとれるほどの選手では、さらに過酷なトレーニングを続けているのでしょう。

激しい運動をすると、呼吸が速く大きくなり、活性酸素の発生が多くなります。活性酸素はもともと免疫には必要なもので、白血球はこれを使って体内の異物を攻撃しますし、細胞を酸化することで活発化します。

しかし、活性酸素が必要以上に増えると、体内でこれを無毒化する機能が追いつかなくなり、正常な細胞を破壊し始めるのです。運動を一生懸命やってはいけません。三日坊主も大いにけっこう。30〜40分、歩くだけでも運動になるのです。歩けば、脳もNK細胞も活性化されます。ほどよい「ちんたら運動」が健康長寿には一番です。