日常生活を見直す

日常生活のリズムの乱れが自律神経のバランスを崩す

ふだんの生活は、「食事」「睡眠」「仕事・学習」「休養」「運動・遊び」の5つの要素に大きく分けられます。そして、1日3回の食事、1日6~8時間の睡眠を中心に、1 日を周期とする規則的な生活リズムができています。
しかし、自律神経失調症の患者さんのなかには、この日常生活のリズムが崩れている人が少なくありません。人間の体は、一定の身体リズム(体内時計) に従って動いているため、生活のリズムが乱れると、やがて自律神経のバランスも同じように乱れてしまいます。

不安定な生活習慣

また、上の5つの要素を、バランスよく日常生活の中に配分することも大切です。どれかが多すぎたり少なすぎたりしてかたよると、さまざまなストレスが生じてきます。
とくに自律神経失調症になる人の多くは、「休養」と「運動・遊び」が不足して、「仕事・学習」が過剰になっているケースが少なくありません。
自分の日常生活に不足しているもの、あるいは負担が大きすぎるものはないか、自分の生活習慣を見直してみる必要がああります。

ライフス・タイルを改善するための3つのポイント

自律神経失調症に限らず、日常生活のバランスやリズムの乱れが大きく影響している病気は少なくありません。そのようなケースでは、病気そのものの治療も必要ですが、ライフスタイルを改善することが大切です。ちょっとした心がけ1つで体の調子を整えることができます。ライフスタイルを改善するためのポイントは、次の3 点です。

  1. 十分な睡眠時間を確保する
  2. ストレスを生むような生活習慣を改める
  3. 考え方を変えてみる

睡眠時間を多めにとる

日常生活のリズムをただすために、まず睡眠のリズムを調整します。前記の5つの要素のうち、睡眠と食事は、生命そのものを維持するために必要不可欠なものです。睡眠と食事がいいかげんでは、健康を維持することはできません。
仕事が忙しくて2~3時間しか睡眠時間がとれなかったり、不規則になりがちだったり、あるいは不眠症で何日も眠れないなど、睡眠不足の理由は人によって違います。しかし、本来の生活リズムを取り戻すためには、毎日決まった時間に就寝・起床して、十分な睡眠時問を確保することが第一です。

生活習慣を変える

現在の生活習慣がストレスを生み、その結果いろいろな症状が引き起こされるのですから、生活習慣を変える努力をしてみましょう。たとえば、学生時代にスポーツを楽しんでいた人が、仕事や結婚、出産などでスポーツをやめると、それが原因で体の調子を悪くすることが多いものです。
そういう人は、以前のライフスタイルに戻してみる、あるいは近づけてみるのも1つの方法です。生活習慣を変えることは簡単なことではありませんが、5つの要素のうち、現在の自分に不足しているものがあればそれを補い、過剰なものがあれば抑えるように心がけてみましょう。
仕事にせよ運動にせよ、過剰であっても不足であっても心身に害をもたらします。何事も、「適度」が肝心です。

症状に神経質になりすぎないで考え方を変える

生活習慣を変えるためには、現在の自分の症状にこだわらないことも重要です。症状にこだわっていると、「ひぎが痛むからスポーツができない」「頭が痛いから外に出たくない」と自分で行動を制限してしまい、現状から抜け出すことはできません。
痛みや不快感などの症状が続くのは、確かにつらく、苦しいものですが、治療を受けてもすぐに症状がなくなるとは限りません。
「しばらくは症状とつき合っていこう」と考えを変えてみることをおすすめします。人間の体というのは不思議なもので、症状を意識していると、しだいにその症状が強くなることがあります。反対にほかのことに集中していると、症状が軽くなることも少なくありません。症状をなくそうなくそうとあせるよりも、発想を転換して、症状とうまくつき合いながら生活していこうと覚悟すると、それだけで症状がやわらぐことがあります。