体質を見直しながら症状を改善する漢方薬
症状や体質に合わせて使う
西洋医学では、病気の原因をつきとめ、明らかになった病名によってそれに合った薬が処方されます。そのため、自律神経失調症のようなはっきりとした原因がないものに対しては、医師はその治療法に頭を抱えることになります。
また、薬を服用しても、症状が改善しないケースも少なくありません。一方、漢方医学では、症状が現れるのは心身のアンバランスが原因と考え、その人の「証(体質や抵抗力など)」に合わせた薬が処方されます。この考えは心身医学にも共通することから、自律神経失調症治療にもとり入れられ、効果を上げています。
漢方薬は、自己治癒力を高めて心身のバランスを整える働きをしますから、自律神経が乱れやすいという体質を改善することもできます。漢方薬と西洋薬の違いを簡単にいえば、漢方薬は心身の調子を整えることでさまざまな症状を改善し、西洋薬はそれぞれの臓器に直接作用し、部分的に症状を改善するといえるでしょう。
なお、漢方薬には副作用がないと思っている人も多いようですが、体質に合わない薬をのむと、副作用が出ることがあります。漢方薬を服用するときも、医師の指示、処方に従うことが大切です。
自律神経失調症の症状別に処方される漢方薬名
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)…動悸やぼてり、のぼせ、肩こり、頭痛、めまい、不眠、イライラ感などの更年期障害がある
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) …疲れやすく、動悸、息切れ、不眠、口渇、肩こり、のぼせ、冷え、抑うつ、不安、焦燥感などがある
- # 柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)…不安やイライラ、怒りっぽい、不眠などの精神症状と、動悸、胸部痛などの胸部症状がある
- 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)…下痢、腹痛などの過敏性腸症候群かある
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう…疲労感が強く、不眠がある)
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)…不安が強く、咽頭や上胸部に詰まった感じや何かひっかかった感じガあり、呼吸困難感、動悸がある
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)…冷えやのぼせ、動悸、疲れやすいなどの身体症状と、興奮しやすい、不安、不眠などの精神症状がある
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)…のぼせ、頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、動悸、便秘などの身体症状と、不安がある
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、冷え、動悸、月経不順などがある
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…冷え、腰痛、頭痛、めまい、動悸、疲労感などがある
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