日常的に必要なのは「コンディショニング運動」

2024/10/25

健康には適度な運動が必要。そんなことは医者にいわれるまでもなく、誰もが知っているでしょう。ここではもう少し掘り下げて、運動にはどんな種類と効果があるのかをきちんと解説しておきます。

一言で運動といっても、目的によって大きく3つに区別されます。それは「トレーニング」「コンディショニング」「ケア」の3つ。この3つは明確に区別しています。この3つはやり方も、目的もまるで異なるものだからです。

まずは、一般的な運動のイメージにもっとも近い「トレーニング」から解説しましょう。「ストレングス」と言い換えることもできます。
簡単にいえば、筋力や持久力など自分の体を強化するために行う運動。それがトレーニングです。スポーツジムへ行ったとき、ものすごい重量のバーベルを挙げている人をたまに見かけますが、あれがまさにトレーニング。

皇居の周りを走っている人のなかでも、タイムをきっちり計りながら、目標に向かって自分を追い込んでいる人。あれもトレーニングに分類ざれます。

続いて、「コンディショニング」とは、自分の体の状蕃を整えるための運動です。過度な負荷はかけないので、体が強くなることはありませんが、文字どおりコンディションが良くなり、自分なりのベストパフォーマンスを発揮できるようになります。
サッカー選手が試合前日に徹底的な走り込みをしたり、野球の投手が登板前日に200球の投げ込みをすることはありません。

試合前日にトレーニング(あるいはストレングス)は必要ないからです。そのとき彼らに必要なのは、いうまでもなくコンディショニング。

体の状態を整え、ベストパフォーマンスを出せる準備をすることです。

最後の「ケア」とは、ケガなどで弱っている部分を少しずつ修復していくための運動。トレーニングがゼロをプラスにする運動だとすれば、ケアはマイナスからゼロを目指す運動です。トレーニング、コンディショニング、ケア。

この3つの違いをおわかりいただけたでしょうか。

「ゆっくり、意識して、リズミカルに」歩く

「ゆっくり生きる」ためにおすすめするのは「コンディショニングの運動」です。最初に断っておきますが、日常的にランニングをしたり、ジムへ行くなど、いわゆるトレーニングをしている人はそのまま継続してもらえればいいと思います。

ですが、ふだんほとんど運動をしていない人は、あくまでも「コンディションを整える」という目的で、ちょっとした運動を日常生活に取り入れてください。その際に、最適なのはウォーキング。

歩くというのは、手軽ですし、自律神経を整えるうえでもとても効果的。歩く際の「タッ、タッ、タッ」というリズムが自律神経を整えてくれます。あまりハードに歩くとトレーニングに近くなり交感神経が上がってきますが、ゆっくりリズム良く歩いていると、副交感神経が上がってきます。

「ゆっくり、リズム良く」という以外に特別な「歩き方」はありませんが、1つだけ気にしてほしいことがあります。それは「意識して歩く」ということ。きたここでの目的は、筋力を鍛えることでも、やせることでもありません。あくまでも自律神経を整え、血流を良くして、本当の健康状態を取り戻すためのウォーキング。そのことをしっかり意識して、歩いてください。

この「意識」というのが意外に大事です。よく、筋トレをするときに「鍛える箇所を意識すると効果が上がる」といいますが、それは自律神経も同じ。「自律神経を整えるために歩くんだ」「落ち着いて、リラックスして、副交感神経を高めよう」と意識をすれば、それだけ効果は高まります。
その意識を持った瞬間から自律神経が整いはじめるほど「意識と自律神経」は密接につながっています。同じ歩くなら「意識して歩く」。ぜひ忘れないでください。

「階段の日」をつくるだけでも効果的

運動というと、トレーニングウェアに着替えて、ジョギングシューズを履いて、何十分もストレッチをして…などと考えがちですが、ここでおすすめするウォーキングはもっと手軽で十分です。

通勤、帰宅などの移動中には「エレベーター、エスカレーターを使わない」というだけでもOK。コンディションを整えるのに過度な気合いは不要です。通勤時、駅までの道のりを「コンディションを整えよう」「副交感神経を高めよう」という意識を持ちながら、ゆっくり、リズミカルに歩く。これだけでもいいのです。

そして、できればエスカレーターを使わずに階段を使う。これもなかなかおすすめです。すべての箇所で階段を使うのが困難なら、「この部分だけは階段を使おう」「火曜と木曜は階段の日にしよう」というやり方でも構いません。

あるいは、会社帰りに1つ手前の駅で降りて、その範囲をウォーキングで帰るという方法もいいでしょう。いずれにしても、コンディションを整えるのが目的ですから、無理のない範囲で、継続的に行うことがポイントです。慣れればとても気持ちがいいので、ぜひあなたの生活に取り入れてみてください。