他人のペースに合わせないで自分のペースで
どんなタイプが長生き?性格別に調査
真面目な人は、だいたい責任感も強く自己犠牲的な面を持っています。こういう人も、健康という観点から見ると危ないのです。
大変な仕事ほど、人に回せず自分1人で抱え込んでしまう。あるいは、適当なところで手を抜くことができず、とことんまで根を詰めてしまう。そうして何か問題があると、自分を責めてしまいがちです。
いかにも寿命が縮みそうな性格です。性格と寿命の関係については、世界中でさまざまな研究が行なわれてきました。イギリスの医師と心理学者が、当時ユーゴスラビアの40 〜50代の男性1500対象に追跡調査を行なったことがあります。彼らを性格によって3つのグループに分けて調べたのです。
- グループ1 は、目標を持って頑張り、それが達成できなかったときは、すべて自分のせいにするタイプ
- グループ2は、目標が達成できないと、都合よく他人のせいにしてしまうタイプ。
- グループ3は、うまくいかないときは、気にせず方向転換するタイプ。
この中で平均して一番早死にだったのが、真面目なグループ1で、その8割はがんで亡くなっていました。2と3のグループは、明らかに1より長生きでした。
問題が起これば他人に責任転嫁してしまう人や、これがダメならあれ、というようにさっさと切り替えてしまう楽観的な人のほうが長生きしていたのです。責任感が強い人は、社会的に信頼され評価されるかもしれませんが、早死にしては元も子もありません。
自分を責めがちな人は、クヨクヨして内にこもり、悲観的になりやすく、それが免疫力を落としてしまうのです。
また、アメリカの心理学者リディア・テモショックたちは、進行したがん患者150人以上を面接調査して、その4分の3以上によく見られる性格を「タイプC」と名づけました。
このタイプは、怒りや不安や悲しみといった正直な気持ちを押し殺し、忍耐強く控えめで協力的で、常に他人に合わせてしまいやすい性格でした。真面目で心優しく従順であるために、人一倍絶望感や無力感に襲われやすく、そういった精神的なストレスが免疫力を低下させてしまうと考えられます。
そしてがんにもなりやすいのです。日本人の死因でがんがトップなのも、こんな日本人にありがちな性格のせいかもしれません。誰の体の中でも、毎日がん細胞は生まれています。これは人間にはどうしようもない事実です。ただ、このがん細胞を芽のうちに叩き潰せるか、抵抗できないまま大きく育ててしまうかに個人差があるのです。
がん細胞を生み出さないように体をコントロールすることが難しければ、できてしまうがん細胞をさっさと始末するような性格・生き方をするほうが、ずっと楽で確実でしょう。ちなみに、アメリカの心臓専門医M ・フリードマンとR・H ・ローゼンマンによって、タイプAとタイプBという性格に分類された健康調査も行なわれました。
タイプAとは、精力的・野心的で、競争心・出世欲も旺盛な人。せっかちで攻撃的で、仕事を抱え込みやすい面があります。企業社会で成功するには、こういう人が向いているでしょう。実際、会社で出世する人、事業で成功する人には、このタイプの人が多いものです。
しかし、こういう人は常に緊張して知らず知らずのうちにストレスをため込みがちなので、心臓や血管に負担が大きく、心筋梗塞や脳出血を起こしやすいと言えます。それに対してタイプBは、野心があまりなく、勝ち負けにこだわらず、いたってマイペース。決して無理せずのんびりしていて、他人の評価も気になりません。タイプA の人は、このタイプB の人に比べると心臓疾患になる率が2 倍だと言います。
この中で一番健康的なのは、やはりタイプB です。何事も「適当」で「いい加減」に対応するのがいいのです。
うつになりにくい性格も同様です。まじめタイプの心の縛りをゆるめる方法はこちらです。