「心身症」と「自律神経失調症」の異なる点

現代のようなストレス社会では、心の問題が体の病気として現れるケースが増え続けており、「心身症の時代Lともいわれています。

ストレスによる病気は全て「心身症」に含まれる

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ストレスなどの「心因」が引き金になって起こることの多い病気です。
このように「心」がかかわって起こる病気を総称して「心身症」といいます。不満や不安、悩みなどの心の問題に体が反応して発症するのが心身症で、自律神経失調症も広い意味ではこれに含まれます。
心の問題にはさまざまあります。結婚や入学、就職などで環境が変わり、新しい状況になじめない場合、あるいは親しい人の死や夫婦間・親子間のトラブル、失業や借金の悩みなどでも、病気は誘発されます。社会環境が複雑になった分だけストレスも増えた現代社会では、病気の大部分が心身症に含まれるといわれています。

心身症は内科的治療で治りにくく、また再発しやすい

先にあげた胃潰瘍や十二指腸潰瘍は心身症の代表的なものですが、高血圧や狭心症、糖尿病、気管支ぜんそく、慢性肝炎、片頭痛、拒食症、円形脱毛症、顎関節症なども広義の心身症とみなされることがあります。心身症は、通常の内科的治療では治りにくく、一時的にはよくなっても再発を繰り返し、慢性化しやすいという特徴があります。
治療を怠ると生命にかかわることもありますから、専門医のもとで適切な治療を受ける必要があります。ただし、心因の影響がなく、遺伝的体質やライフスタイルが主な原因で発症した場合は心身症とはいいません。
たとえば、たばこの吸いすぎや酒の飲みすぎで胃潰瘍になることもありますが、その場合は従来の身体疾患として扱われます。

自律神経失調症と心身症の異なる点

心がかかわって体に症状が現れるという意味では、自律神経失調症も心身症の仲間です。あえて違いをいえば、自律神経失調症は不特定多数の器官に症状が現れるのに対し、心身症は特定の器官に症状が固着するという点です。

大きく3つのタイプに分かれる

自律神経失調症は、その原因から「体質がかかわっているタイプ」「ストレスが主な原因になっているタイプ」「性格や心理的なものが影響しているタイプ」の3つにに大別することができます。

自律神経機能検査や心理テストを行う

自律神経失調症は、体質的なもの、心理的・精神的なもの、性格的なものなど複雑な要因がかかわり合って引き起こされます。
そこで、どの要因が最も深くかかわっているかを、自律神経機能検査や心理テストなどから判断し、次の3つのタイプに分類して治療の方針を決めます。

「本態性自律神経失調症」…幼児期からの体質が影響

子どものころから自律神経のバランスが乱れやすいという体質を持っているために症状を引き起こしているタイプです。自律神経機能検査である程度はっきりした異常が発見されますが、心理テストを行っても、ストレスなどの心理的な影響はあまり見られません。
なお、このタイプの自律神経失調症は、比較的少ないようです。

「心身症型自律神経失調症」…体質とストレスの両方が原因

自律神経失調症の患者さんのなかで最も多いのが、この心身症型です。自律神経機能検査でも異常が見られ、心理テストからストレスなどの心理的・精神的な要因もからんでいると判断できます。生来の体質にも心因が重なって発症するタイプです。
心身症型自律神経失調症にかかるのは、さまざまな症状があってもそれを気にとめなかったり、怒りや悲しみなどの感情もあまり表に出さないなど、ある意味では自分にきびしい人が多いようです。
そのため、知らないうちにストレスをため込み、自律神経機能に異常をきたすケースが多いようです。このタイプは、日常生活でのストレスが原因になる「現実心身症型」と、性格的なものが原因になる「性格心身症型」とに分けられます。

「神経症型自律神経失調症」…心理的なものが大半を占める

自律神経機能検査では明確な異常が見られず、心理的・精神的なことが深くかかわって症状を引き起こしていると考えられます。
このタイプの患者さんは、物事にこだわる性格の人が多く、少しでも体調が悪いと「重大な病気ではないか」という強い不安にとらわれ、医師に対しても、詳しい説明を求める傾向があります。
また、生きがいや心の支えなど、それまで自分のなかで重要な部分を占めていたものを喪失したときに、心のバランスを崩してしまうこともあります。これを「実存神経症型」といいます。退職や子どもの自立が引き金になって起こることがあります。そのほか、昼夜逆転したような不規則な生活習慣や、感情のコントロールができない、警戒心が強いなどの神経質な性格がかかわって症状が現れている人もいるようです。

治療は、「心身症型」と「神経症型」に分けて考える

自律神経失調症には、以上のように3つのタイプがありますが、実際には、明確に区別することは困難です。本態性には心因はあまり影響していないといっても、人間はだれでもストレスを感じ、なんらかの悩みを抱えていますし、病気に心因がどの程度からんでいるかを正確に測ることはできませんから、ほかのタイプとの区別はつきにくいものです。
そのようなことから、治療法は、心身症型と神経症型の2つに大きく分類して考えます。つまり、自律神経機能検査で明らかに異常が認められたかどうかを基準にして、治療方針を立てていきます。本態性と心身症型は、薬を使ったり、自律訓練法を用いるなど、体に直接働きかける身体的な治療を中心に行います。
一方、神経症型の場合は、カウンセリングなどの心理的な療法が優先されます。

女性のほうが自律神経失調症にかかりやすい

女性はホルモンバランスと関連性がある

自律神経失調症になるのは、男性より女性が圧倒的に多いものです。女性は、月経前後はもちろんのこと、妊娠や出産などによってもホルモン分泌のバランスが乱れます。
このホルモンの分泌を調節しているのが脳にある視床下部というところです。ここは、自律神経の働きをコントロールしている「指令部」でもあります。ホルモン分泌のバランスが乱れると、それに影響されて白山搾神経にも乱れが餐ゾレぞき支)す。をのため、安住ば白樺神経失調症になりやすいのです。更年期の女性の自律神経失調症を「更年期障害」といいますが、これは、卵巣の老化に伴うホルモンの分泌量低下が原因となって起こります。卵巣の老化は、早い人で35 歳前後から始まります。

男性にも更年期障害がある

更年期障害というと、閉経期に見られる女性特有の症状と考えられていますが、最近は中高年の男性にも同じような症状を訴える人が増えています。
男性の場合は、女性ほどの急激なホルモン分泌の変化はありませんが、老化やストレスによって心身のバランスが乱れ、自律神経失調症状が現れます。

自律神経失調症になりやすい体質

体質が大きく影響する

自律神経失調症と診断された人のなかには、両親や兄弟などにも同じような症状を持っている人が多くいます。
しかし、自律神経失調症は遺伝する病気ではありません。自律神経が乱れやすいという体質を親が持っていて、それを子どもが受け継いだために、家族のなかに同じような症状を持つ人がいるのです。体質的に自律神経の調節能力が低いと、ふつうの人ならなんでもないようなことが原因で自律律神経のバランスが乱れ、さまざまな症状を引き起こします。

こんな体質は危険

一般に、虚弱体質の人、やせ型でなかなか太れない人、アレルギー体質の人などは生まれながらに自律神経のバランスが乱れやすく、自律神経失調症になりやすい傾向があります。
また、乳児期に嘔吐や下痢を繰り返した人、熱を出しやすかった人、幼児期に自家中毒や乗り物酔いをしやすかった人なども、自律神経のバランスが乱れやすい体質といえます。女性では、生理不順や生理痛、月経前に情緒不安定になるなどの月経異常がある人も自律神経失調症になりやすい傾向にあります。

自律神経になりやすい体質(まとめ)

乳児期

  • 飲んだ乳をすぐに吐き出してしまう
  • 下痢が多い
  • よく熱がでた
  • おびえて泣くことが多かった

幼児期

  • 自家中毒を起こしやすい
  • 乗り物酔いをしやすい
  • 環境が変わると眠れない
  • よく熱がでた

思春期

  • 便秘や下痢をしやすい
  • 立ちくらみやめまいを起こしやすい
  • 頭痛・動悸が多い
  • 低血圧で朝が苦手

女性の場合

  • 生理不順
  • 月経時に腹痛や生理痛があった
  • 月経前症候群

その症状が本当に自律神経失調症によるものか?

その症状が自律神経失調症の症状とは限らない

自律神経失調症の症状はだれにでもあてはまるものが多いことから、体の調子が悪いと、すぐにこの病気だと思い込んでしまう人も多いようです。しかし、安易に自律神経失調症だと決めつけることは避けなくてはなりません。というのは、重大な病気のなかに、自律神経失調症と似た症状が現れるものが少なくないからです。また、この病気は精神的なものとも深くかかわっているため、自律神経失血調症だと思い込むことで、症状がひどくなる〃ノースもあります。

心理テストでもチェックできる

初めに、「TMI(東邦メディカル・インデックス)」で、自律神経失調症かどうかを自己チェックできます。
この調査表は、アメリカで開発された「CMI(コーネル・メディカル・インデックス)」という心理・性格テストを日本人向けに改編したもので、「自律神経症状」と「精神症状」のそれぞれに、1個以上あてはまる症状があれば、自律神経失調症と考えられます。ただし、自律神経失調症かどうかの判断は医師でもむずかしいものです。これだけでは正確な判断はできません。

自律神経症状のチェック

  • いつも耳鳴りがしますか
  • 胸か払渡のところがしめつけられるような感じを持ったことがありますか
  • 胸か心臓のところが押さえつけられるような感じを待ったことがありますか
  • 動悸が打って気になることがよくありますか
  • 心臓が狂ったように速く打つことがありますか
  • よく息苦しくなることがありますか
  • 人より息切れしやすいですか
  • ときどき座っていても息切れすることがありますか
  • 軍でも手足が冷えますか
  • 手足の先が紫色になることがありますか
  • 食欲はありますか
  • 吐き気や嘔吐はありますか
  • 胃の具合は悪くないですか
  • 消化不良はありませんか
  • 食後、空腹時に胃の痛みはありませんか
  • 頻繁に下痢はありませんか
  • よく便秘はしませんか
  • 肩や首すじがこりますか
  • 肩や首筋がこりませんか
  • 手足はだるくありませんか
  • 皮膚が敏感
  • 顔が赤くなる
  • 冬でも汗をかく
  • 蕁麻疹ができやすい
  • 頭痛がひどい
  • 腰があるく重い
  • 体が急にほてったり冷たくなったりする
  • めまい
  • 気が遠くなって倒れそうになる
  • 気を失ったことが2回以上ある
  • しびれや痛みがある
  • 手足の震え
  • もよつとしたことでも気になってしかたがない
  • 神経質
  • 精神病矧こ入院したことがある
  • 感情を害しやすい
  • 誤解されやすい
  • すぐカーッとなったりイライラしたりしますか
  • 体がカーッとなって汗か出ることかありますか
  • ごはんが食べられないぽど疲れる
  • テキスト

TMI症状のチェック

  • いつも指令や命令をとり違えますか
  • 見知らぬ人や場所が気にかかりますか
  • そばに知った人がいないとおどおどしますか
  • いつも決心がつきかねますか
  • いつも相談相手に、そばにいてほしいですか
  • 人から気がきかないと想われていますか
  • よそで食事をするのが苦になりますか
  • 会合に出ても、ひとりぽっちのような感じがして悲しいですか
  • いつも不幸で憂鬱ですか
  • いつもみじめで気が浮かないですか
  • 人生はまったく希望かないように思われますか
  • いっそ死んでしまいたいと思うことガありますか
  • し1つもくよくよしますか
    • 試験のときや質問のときに汗をかいたりふるえたりしますか
    • 目上の人か近づくと、とても発頭してふるえそうになりますか
    • 物事を急いでしなければならないとき、頭が混乱しますか
    • 少しでも急ぐと誤りをしやすいですか