神経症や鬱病と異なる点
神経症や鬱病は心の病気
自律神経失調症は、神経症やうつ病などの精神疾患とは異なる病気です。しかし、同じような症状が現れるケースが多いため、誤って診断されることも少なくないようです。
神経症もうつ病も、不安や意欲低下などの精神症状が強く現れる心の病気で、その原因は心理的・精神的なものといわれています。自律神経失調症とオーバーラップする面もありますが、精神面のケアを優先する必要がありますから、区別して対処しなければなりません。
不安や心配などの精神症状が強くあらわれる「神経症」
「ノイローゼ」ともいわれている神経症は、精神症状だけでなく、動悸や頭痛、胸痛、呼吸困難、めまい、発汗などの身体症状を伴うことがありますが、自律神経失調症と同様に検査をしても異常は認められません。神経症は、大きく分けて次の2つのタイプがあります。
常に不安がある「不安神経症」
実体のない漠然とした不安にとらわれているのが「不安神経症」です。つねに不安状態にあるため、外出先で動悸などのちょっとした不調を感じると、「もっとひどくなるのではないか」という恐怖にかられて緊張状態に陥り、本当に症状が悪化してしまいます。
その経験から、「また、あのような状態になるのではないか」と不安がつのり、仕事が手につかなくなったり、外出することもできなくなったりして、社会生活に適応できにくくなります。
「不安や心配事が先にあって症状が引き起こされる」のが不安神経症です。その点が自律神経失調症との違いといえることから、不安の度合いによって両者を区別します。
病気だと思い込む「心気神経症」
なんらかの症状を自覚したとき、その症状に対するこだわりが強く、「自分は重大な病気だ」と思い込んでしまうのが「心気神経症」です。
各種の検査を受けて、医師から「どこにも異常がありません」といわれても納得できず、いっこうに心配は晴れません。年中、体のことを気にして、たびたび検査を受けたり、病院を転々とする人が多いようです。
診断結果にも疑いをいだき、「重大な病気なのに、医師にも理解してもらえない」と悩むのが心気神経症で、「異常はないはずなのに、症状が消えない」と症状そのものに悩むのが自律神経失調症といえるでしょう。
無気力で絶望感が強い鬱病
うつ病はその名のとおり、憂鬱気分やイライラ感、意欲低下などの精神症状が現れます。同時に、睡眠障害や倦怠感、頭重、肩こり、食欲不振、便秘、動悸など、自律神経失調症と同じょうな症状が起こります。
最近は、精神症状よりも身体症状のほうが強く現れているうつ病の患者さんが増えてきています。
このようなケースは、身体症状という仮面をかぶっているため、「仮面うつ病」と呼ばれています。
自律神経失調症との相違点は、うつ病は、午前中は気分が悪く、午後からよくなり、夜は眠れないという「日内リズム」があることと、自責の念や他人への配慮心が強いタイプがかかりやすいことなどがあげられます。また、うつ病は抗うつ剤の効果が期待されるため、その治療効果から判断される場合もあります。
うつの度合いを自己診断
疲労が重なったり、心に悩みを抱えていると、だれでもゆううつな気分になります。何をするのもおっくうになり、無気力や焦燥感に陥ることもああります。
通常なら、時間とともにそのようなうつ状態は消え、意欲を取り戻すものですが、うつ病の場合はいつまでも消えず、ときにはますます強まってしまいます。
絶望感が高じて、死んでしまいたいと思ったり、実際に自殺を図るケースもあります。このような最悪の事態を避けるためにも、うつ病は早めに治療をうけて、うつ状態を改善することが大切です。
うつ状態から解放されると、自然に体の不快症状が消えることもあります。うつ病の傾向があると感じる方は、自分でチェックしてみましょう。
下記のリストは、うつ病の診断によく用いられるものです。合計点数が50点以上になる場合は、一度、心療内科か精神科を受診したほうがよいでしょう。
以下のチェックリストで
- たまに…1点
- 時々…2点
- かなり…3点
- いつも…4点
で合計の点数をだしてみます。
- 20点…正常
- 40点~50点…うつ傾向
- 50点~60点…うつ状態
抑うつ尺度(ツングのSDS)
- 気分が沈んで憂鬱
- 朝方は気分が一番いい
- よく泣いたり、泣きたくなる
- よく寝られない
- 食欲は普通
- まだ性欲がある。異性に対する関心がある
- やせて蕃たことに気がつく
- 便秘をしている
- ふだんよりも動悸がずる
- なんとなく疲れる
- 気持ちはいつもさっぱりしている
- いつもと変わりなく仕事をすることができる
- 落ち着かず、じっとしていられない
- 将来に希望がある
- いつもよりイライラする
- たやすく決断できる
- 役に立つ、働ける人間だと思う
- 生活はかなり充実している
- 私が死んだぼうがほかの者は楽に書らせると思う
- 日ごろしていることに満足している
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