人間関係のトラブルに巻き込まれないためには

人間は誰にも長所と短所がある

自律神経失調症になりやすいのは、他人に心を開くことができず、「人づき合いは苦手だ」と決めつけてしまっているようです。
そのために、仕事関係や友人関係、あるいは家族間でもトラブルを起こしがちですが、よけいなストレスをためないためにも、円満な人間関係を築いていくことが大切です。人間関係がこじれやすい人は、「だれでも長所もあれば短所もある」ということを認めながら、他人とつき合っていくように心がけましょう。
他人の悪い点はかりに目を向けていると、どうしても自分が「被害者」になってしまい、相手に対する不満や恨みばかりがたまってしまいます。それでは対等な人間関係を結ぶことはできません。

交流分析のテクニックが役立つ

人間関係のトラブルが多い人は、自分がどんな人間関係を結びやすいか、客観的に振り返ってみることも必要です。
そのためには、「交流分析」を利用するのもよいでしょう。人間の心の中には、親(P)、大人(A)、子ども(C)の「3 つの自我」がいて、私たちは、このいずれかからメッセージを発しています。お互いが大人(A) を使ってメッセージを発すれば、相補的交流となってトラブルが起こることはありませんが、自分も相手も親(P)からメッセージを送れば、交差的交流となってトラブルを引き起こしてしまいます。また交流分析では、私たちには人生においてとり続ける一定の基本的態度(ベーシックポジション)があり、それが対人交流のもとになっていると考えています。

人間関係を対等に保つための7つのポイント

1.他人のよい点を見つけて褒めたり評価すうる習慣をつける

子ども(C)の立場に立って、相手をたてます。ほめられて怒る人はいません。また、相手のよい点を見つけることができれば、自分にとってもプラスになります。

2.自分を卑下しない

相手をたてても、自分を卑下する必要はありません。自分を卑下するクセがある人は意外と多いものですが、それでは対等の人間関係を結べません。相手に長所があるように、自分にも長所があります。自分の長所を探すことも大切です。

3.他人の挑発にのらない

陰口や皮肉などで挑発されると、つい親(P)の立場で反論してしまい、それで人間関係を悪化させてしまうことが多いものです。衝動的に反論して人間関係をこじらせるより、大人(A)の立場で冷静に物事を考え、ぐつとがまんすることも必要です。

4.他人のせいにしない

問題が起きた原因を他人のせいにすると、一時的に気分はらくになりますが、その人に対する不満や恨みがつのって、かえってストレスになってしまいます。他人のせいにして自分を守ろうとするクセは改めましょう。

5.他人の批判をしない

他人の気分を害するようなことを、自分から仕掛けてはいけません。「だめじゃないか」とどなりたくても、「次から気をつけなさい」と抑えていえば、相手を傷つけることもありません。

6.いやなことは「いや」と言う

言う自律神経失調症の人は、他人に気をつかうあまり、何か頼みごとなどをされると、内心はいやでもよい返事をしてしまう傾向があります。このような過剰適応は、それだけでストレスになります。いやなことははっきりと断る勇気も必要です。

7.からだの調整を整える

よく過ごせるようにするその日の機嫌によって言動に差がある人は、つき合いにくいものです。体の調子が悪いと不機嫌になりがちですから、「お天気屋」といわれないためにも健康管理に気を配りましょう。仕事関係者のなかにそのような人がいてわずらわされている場合は、ビジネスはビジネスと割り切り、家庭にまで引きずらないことが大切です。

職場での賢い人間関係

どのような上司に対しても、またどのような場でも、自分の意見を堂々と自己主張できるのが理想的ですが、なかなかむずかしいのが現実です。心身ともに健康で、柔軟な性格の持ち主であれば、どのような上司のもとでも、なんとか仕事を続けていくことはできます。
ところが、気まじめで融通がきかなかったり、仕事一点張りで趣味もなく友人もいなかったりすると、上司との人間関係がもとで、職場不適応状態となり、やがて出社拒否などの本格的な職場不適応症に陥ってしまいます。このような状況を避けるためには、「仕事がすべてではない」と自分に言い聞かせるとともに、「上司といえど、同じ人間。完壁な人はいない」と割り切り、上司との関係にとらわれないように心がけることが大切です。それには、会社以外に自分の「居場所」 をつくるのがいちばんです。

家族との関係をよくするには

夫婦

家庭の基盤である夫婦関係をよりよく保つためには、趣味など共通の話題を持つことが大切です。よく「子はかすがい」といいますが、子どもだけが「かすがい」では、よい夫婦関係を維持することはできません。「かすがい」は多いほどよいものです。

親子関係

過保護や過干渉、あるいはまったくの放任は、子どもまで自律神経失調症にしてしまいます。子どもを伸び伸びと育てるためには、怒って育てるよりもほめて育てることが大切です。また、子どもが「3 つの自我」のうちのどれを使ってメッセージを発しているかをよく理解し、上手に導くことが必要です。

嫁・姑関係

人間にはよい点もあれば悪い点もあるということをよく認識することが基本です。過剰に期待したり、過剰に対応するのも好ましくありません。