心が楽になる「カウンセリング」

本人だけでは解決できない問題も

「カウンセリング」という言葉は、ラテン語の「ともに考慮する」という意味の「Consilium」が語源です。
自分1人で心理的な問題を解決しようとしても、客観的・多面的に問題を見つめることができず、1 つの考えにとらわれたり、自分に都合のよい答えを出してしまいがちです。これではいつまでもよい解答は見つかりません。そこで、医師あるいは臨床心理士(カウンセラー) が、患者さんのつらい気持ちに共感しながら、「何が原因でこうなったのか」「どうすれば病気を克服することができるか」を一緒に考え、手助けするのがカウンセリングです。

自分をかえるきっかけに

手助けするといっても、医師やカウンセラーが「こうしたほうがよい」と積極的に指導することはありません。
ときには解決のヒントになるようなことを示すことはありますが、あくまでもアドバイスどまりです。患者さんは、不快な身体症状にだけとらわれて、病気を引き起こしているのは心理的なストレスであることに気づいていないことが多いものです。そのようなとき「いつから症状がでるようになったの?」「どんなときに症状がでるの?」ちおった質問をすると、患者さんはしだいに心が病気にかかわつていることに気づき、それで症状が改善することもよくあります。
患者さん自身が、自分の病気を正しく理解できるようになれば、やがて、ストレスをセルフコントロールできるようになり、再発を繰り返すようなこともなくなります。
カウンセリングの目的は、患者さん自身がそれまで抱えていた心理的な問題や自分の性格的なゆがみに気づき、同じ過ちを繰り返さないように「一歩成長した新しい自分」 になってもらうことです。医師やカウンセラーの役割は、患者さんが持つ「自己成長」の可能性を信じ、導くことであって、答えを出すことではありません。