朝の時間帯はゆっくり時間をかけて丁寧に

「ゆっくり生きる」ために、まず意識してほしいのが朝の過ごし方です。実際あなたは、朝の時間をどんなふうに過ごしているでしょうか?

朝は何かと忙しいので、バタバタと過ごしている人も多いはず。「朝の1分は昼の30分に相当する」といわれるはど、朝は忙しいものです。

しかし、自律神経にとって「慌ただしく朝を過ごす」のはもっとも避けたい生活習慣なのです。

朝起きてからバタバタ忙しく動き回ると、交感神経が馳ね上がり、一気に副交感神経がレベルダウンしてしまうからです。そもそも、私たちの体は寝ているときに副交感神経が優位になり、その状態朝を迎えます。

せっかく睡眠をしっかりとって副交感神経のレベルを上げても、朝、バタバタしてしまったら一気に副交感神経は下がってしまいます。
じっは、これが大きな問題。そもそも、朝は「副交感神経優位」から「交感神経優位」へと切り替わるタイミング。何もしなくても徐々に副交感神経は下がり、交感神経が上がってきます。

しかし、そのときこそ注意が必要です。ゆっくり生きるためには、「自律神経の切り替え」が急激に進まないよう気をっけなければいけません。なにより大事なのは「副交感神経優位から交感神経優位に、ゆっくり切り替えること」です。

とはいえ、ここで意識するのはたった1つ。ただ、ゆっくり行動するだけです。ゆっくり起き出して、ゆっくりと顔を洗う。朝食も、歯磨きも、トイレも、着替えもとにかくゆつくり。そして、コーヒーでも飲みながら、30分ほどゆっくり新聞を読む。

この「ゆっくり意識」が自律神経を上手に切り替えるコツなのです。

「朝、忙しくてとにかく時間がない」という人は、すべての行動をゆっくりにしなくても構いません。せめて1つだけでも「ゆっくりアクション」を導入してください。

歯磨きだけはゆっくりする。着替えだけはゆっくりする。家の廊下はゆっくり歩くなどなんでも構いません。とにかく忙しい朝に「ゆっくり」を持ち込んでください。

その「くどいくらいの、ゆっくり意識」によって、体はリセットされ、副交感神経が高まってきます。もちろん理想は「朝30分のゆっくりタイムを持つこと」ですが、わずかでも意識が変われば自律神経は整ってくるので、ぜひとも試してみてください。

朝の過ごし方を失敗するとリカバリーが困難

「朝をどう過ごすかで、1日が決まる」とよくいわれますが、それは医学的にも本当です。私たちの体は朝、副交感神経優位から交感神経優位に切り替わり、日中はほぼその状態が続きます。

そして夜になると、また少しずつ副交感神経優位になってくる。多少の日内変動はあるものの、大まかにいえばこの流れが基本です。

つまり、朝の時間をバタバタと過ごし、副交感神経を一気に低下させてしまったら、その日のうちに副交感神経を回復させるチャンスはなかなか訪れません。それだけ興奮・緊張状態が続き、血流の悪い1日を過ごすほかなくなってしまうのです。

当然、集中力も散漫になり、イライラし、判断力も鈍ります。そんな1日にしないために「朝の過ごし方」が大事なのです。

ゆっくり、優雅に朝を過ごして、徐々に、徐々に(本当にゆっくりと)「副交感神経優位」から「交感神経優位」へと切り替えていく。

その象徴が「朝30分のゆっくりタイム」(あるいは「朝のゆっくり意識」) です。朝の過ごし方は本当に大事なので、ぜひとも実践して、「忙しい朝」と決別しましょう。