病院に行きたくない理由
健康習慣からは少し離れるかもしれませんが、「医者とのつき合い方」についてちょっと触れたいと思います。そもそも、あなたは医者とどんなふうにつき合っているでしょうか。たいていの人は「体調が悪い」「風邪で熱が出た」となったときに近くの病院へ行き、薬をもらい、その症状が治まればそれで終わり。そんな感じで医者とつき合っているでしょう。
ですが、私はもう少し「医者との関係」を意識的に変えていく必要があると考えています。たとえば30年くらい前なら、どんな土地にも「町のお医者さん」がいて、子どもから大人までみんなが顔見知りで、それぞれの家族構成や病歴まで把握してくれていたものです。
現代とは「医者との距離感」がまったく違っていました。もちろんそんな距離感を今の時代に再現するのはむずかしいでしょう。とはいえ、もう少し上手に医者とつき合う方法があるはずです。
「朝の健康チェック」について紹介しましたが、仮にあなたが「軽いめまいが4~5日続いている」とします。仕事へ行けないことはないが、体の不調は続いている。
そんな感じの状態です。
決してめずらしくないケースです。このくらいの症状のとき、あなたはすぐに「病院へ行こう」と思えるでしょうか。私の経験でいえば、そこまで医者を身近に感じている人はまれ。やはり「ちょっと面倒だな」「どこの病院へ行けばいいんだろう?」などと考え、ついついさきの先延ばしにしてしまう人が圧倒的に多いです。
でも、もしそんなとき、身近に感じる医者がいれば「ちょっと先生に診てもらおうかな」と比較的気軽に病院へ行くことができるはず。
この気軽さがとても重要です。すでに述べたように、病院へ行ったところで深刻な病気が見つかる確率はせいぜい5%。たいていは「ちょっと疲れているみたいだから、残業もはど朋ほどにして、1週間くらいはお酒も控えること」と言われて終わりです。そんな安心を「町のお医者さん」がくれるのです。
信頼する医者に「大丈夫」と言われれば、本当に安心できるものです。そして、安心さえできれば多少体が疲れていても、副交感神経のレベルが上がり、体調も、気分も良くなってきます。どんなに医学が進歩しても、「安心をくれる存在」が遠ざかってしまったらその効果は半減です。
時代錯誤と思われるかもしれませんが、ほとんどの人が忙しく「副交感神経を下げる日常」を送っているからこそ、意識的に病院へ通い、「かかりつけの医者をつくる」ことがとても重要だと、思えてならないのです。
病院は「安心」をもらえる場所
「朝の健康チェック」の項目で、5日間問題が続いたら、1週間以内に病院へ行くというルールが大事だと紹介しました。このルールは本当に大事です。
ですが実際、どのくらいの人がルールを守ってくれるでしょうか。「健康チェック」自体は、かなりの人がやってくれるかもしれません。
しかし、「5日以上問題が続いたら、すぐに病院へ行く」という部分はなかなきぐか守ってもらえないのではないかと危倶しています。
実際、ここはかなり高いハードルでしょう。なぜ、人はそんなに病院に行かないのか。その理由をいろんな人に尋ねてみると、たいていの人が「忙しいから」と答えます。確かにそれも事実でしょう。ですが、その「忙しい」もじつは方便の1つで、本当は「心のどこかで病院を怖がっている」ということがよくあります。
「もし、深刻な病気が見つかったらどうしよう?」その思いが先に立って、なかなか病院へ向かえないのです。気持ちはものすごくよくわかります。
事実、仕事は忙しい。それに加えて、「痛くて痛くてどうしようもない、といぅほどではないし 」「仕事ができないわけでもない」などといろいろ理由をつけて、結局は問題を先送りにしてしまうのです。
あなたにも身に覚えがあるはずです。しかし、それは2つの意味で間違っています。まず1つ目。そもそも「痛み」というのは病気の症状のなかでもかなり後半に訪れるもの。
「痛みがあるから病院へ行く」「熱が出たから病院へ行く」というのでは、手遅れになる可能性があります。朝の健康チェックでもわかるとおり、痛みが出る前には必ず何かしらのサインを体は発しているものです。
そのサインを見逃したり、意識的に目を背けて、そむ「痛み」が出るのを待っていても良いことなど1つもありません。痛みが出てから受診した人は、は口を揃えて「もっと早く来れば良かった」と言います。
せめて、あなたは同じ過ちをしないでください。病院へ行くのを先送りにしてしまうことの問題の2つ目は、「不安を先送りにしても、いいことなど1つもない」という点です。
病院が怖いのは誰もが一緒です。「深刻な病気が見つかったらどうしよう?」という不安も十分に理解できます。しかし、不安を先延ばしにするくらいなら、病院へ行って安心をもらったはうがはるかにマシです。
病院とは、「行く前は不安」でも「行った後は安心できる」場所です。病院へ行った後、もし不安が増大するようなら、そんな医者のところに行くのはやめて別の病院へ行けばいいのです。
病気の発症しやすい40代、50代は、ただでさえ忙しく、社会的にも、家庭のなかでも「なくてはならない存在」です。だからこそ「病院へ行っている暇はない」ではなく、「定期的に病院へ行って、安心してバリバリ働けるようにする」という意識、習慣、考え方を身につけてほしいのです。
今からでも遅くはありません。日々の安心のために、ぜひともかかりつけの医者をつくりましょう。その医者が必ずあなたに安心をくれるはずです。