副交感神経を上げる「1対2」の呼吸法

私たちは日常的に呼吸を繰り返していますが、あまり意識して呼吸をすることはありません。ですが、この呼吸というのもちょっと意識するだけで、自律神経を整えるのに大いに役立ちます。

そこで、私がおすすめするのは「1対2の呼吸」。やり方はとても簡単です。5秒間息を吸って、lO秒間で吐く。ただそれだけです。吸った分の2倍の時間をかけてゆっくり吐く。それが「1対2の呼吸」です。

呼吸の話となると「腹式呼吸が大事」「鼻から吸って口から吐く」などいろいろなことがいわれますが、まずはゆっくりと「1対2 の呼吸」をすればそれでOK。

その呼吸を2~3分続ければ、自律神経の数値はまるで違ってきます。今田耕司さんがこの呼吸を試したところ、瞬時に副交感神経のレベルが上がり、血流も上がりました。そのほかの研究においても「1対2の呼吸」によって自律神経のバランスが整うことは証明されています。

何か不安なことがあるとき、緊張しているとき、腹が立っているとき、長時間の仕事で集中力が落ちているときなど、意識して「1対2の呼吸」をしてください。

たったそれだけで副交感神経の数値が上がり、血流が良くなり、気持ちも体も落ち着いてきます。とても簡単なので、すぐに実践してみてください。

ため息は悪くない

呼吸に関連して、あえてここでは「ため息」についても触れておきましょう。嫌なことがあったとき、心配事があるときなど、人は「はぁ」とため息をつきます。「ため息をつくと幸せが逃げていく」といわれるように、ため息にはあまりいいイメージがありません。

しかし、医学的にはそう悪いものではありません。むしろ私は「ため息はどんどんついてください」といろんなところで言っています。私たちの体は心配事があると交感神経が上がり、一種の緊張状態に陥ります。血管が収縮し、血流が悪くなっている状態です。そんなときに「はぁ」と息を吐くわけですが、じつはこれ、体がゴルフでいうところのリカバリーショットを打っているのです。

ため息には「1対2の呼吸」と似たような効果があって、副交感神経が上がり、自律神経のバランスが整います。ため息も「1対2の呼吸」も、「意識して息を吐く」という部分は同じだからです。

普段の呼吸はどうしても「吸う」ことばかりに意識がいき、「吐く」ことがおろそかになりがちです。しかし、「1対2の呼吸」や「ため息」の場合、しっかり意識して息を吐くことができます。これがとても大切。

しっかり息を吐くことができれば、次にしっかり息を吸うようになり、次第に呼吸が深く、ゆっくりになってきます。呼吸がゆっくりになれば副交感神経が高まってきて、全身がリラックスして、血流も良くなってきます。脳にブドウ糖がしっかり供給されるようになり、思考も感情も安定してきます。ため息は、そのきっかけをつくってくれているので、どんどんため息をついてください。

決して悪いことではありません。とはいえ、同じ呼吸をするくらいなら、ため息をつくタイミングで「そうだ。こんなときこそ1 対2の呼吸をしよう」と思いつければ、さらに状態は整います。

仕事が一段落して、休憩を入れるときなど、ほんの2~3分でいいので「1対2の呼吸」を意識してやってください。自律神経のバランスは飛躍的に良くなります。