医師との信頼関係も治療に影響する

症状を正確に伝える

自律神経失調症は、臨床検査や理学的診断だけではなかなか判断がつかない病気です。家族構成や仕事の内容、その人の性格など、病気の背後に心理的・社会的原因が隠されていることも多いので、それらを含めて総合的に判断しなければなりません。
心療内科の医師は、どのようなときにどのような症状が起こりやすく、そこに心理的な影響があるかないかを、患者さんと一緒に考えていきます。
親子関係や対人関係について質問することもあるため、最初は抵抗を感じる人もいるようですが、心理的・社会的な問題に患者さん本人が「気づく」とができるかどうかで、病気の治り方は違ってきます。患者さんも、自分の症状について、できるだけ正確に、詳しく医師に伝え、「何が原因でこうなったのか」を自分なりに考えていくことが重要です。

医師を信頼する

どんな病気でもいえることですが、とくに自律神経失調症のように心のあり方が影響する病気は、医師を信頼することが治癒への近道です。しかし、患者さんのなかには、次から次へと病院を変える「ドクターショッピング」を繰り返している人が少なくありません。
その理由として、「検査の結果は異常ありません」といわれるだけで何の治療もしてくれない、医師が症状をよく聞いてくれない、病気の説明も不十分で的確な対応をしてくれない、治療を受けてもいっこうに症状が取れないといった医師への不信感があります。実際、自律神経失調症を病気として認めていなかったり、治療に慣れていない医師もいますから、早い段階で信頼できる医師を見つけることが大切です。信頼できる医師の条件として、次のような点があげられます。

  1. 自律神経失調症のあいまいな症状を理解してくれる
  2. 患者の話を細かく聞いてくれる
  3. 1人ひとりの性格や症状に合わせた治療をしてくれる

これらのうち1 つでもあてはまれば安心して治療を受けられると思ってよいでしょう。自律神経失調症の治療は短くて2~6 か月、長い場合は3~4年かかるケースもあります。その間、医師を信頼し、あせらずに病気と向き合うことが大切です。