簡易精神療法で改善する人も

「受容・支持・保証」が管理療法の基本

「簡易精神療法」というと、専門的な治療法をイメージする人もいますが、どの病院でも行われている、ごく一般的な療法です。
初診時に、医師は患者さんの訴えを聞いて症状を把握し、「それは大変ですね」と診察を始めます(受容)。ひととおりの診察がすむと、「たいしたことはありませんよ」といって、不安に包まれている患者さんの気持ちを支えます(支持)。次に、その症状がなぜ起こったのかを説明し、「必ずよくなりますよ」と治ることを約束して励まします(保証)。このように、患者さんの訴えを聞き入れる「受容」、患者さんの気持ちを支える「支持」、患者さんの疑問に答え、必ず治るということを約束する「保証」の3 つを基本とする心理療法を簡易精神療法といいます。

「簡易療法」のみで症状が改善してしまう人もいる

自律神経失調症は、さまざまな自覚症状があっても原因がはっきりしないため、まわりの人からはなかなか病気と認めてもらえません。その結果、イライラや不安がよけい強くなってしまうことがありますが、そのようなときに、医師が自分の訴えを全面的に受け入れてくれると、それまでの疎外感や孤独感が解消されて、以前よりも冷静に病気と向き合うことができるようになります。
話すことによって、蓄積していたストレスが発散されるという効果もあります。また、自律神経失調症の患者さんは物事を悪いほうに考える傾向があり、「がんなどの重い病気ではないか」と不安におびえている人が多いものです。
そのような人にとって、医師から病気のメカニズムを詳しく説明され、「心配しなくても大丈夫」と支えてもらい、「必ずよくなるから」と保証してもらうことは大きな励みになり、なかには、それだけで症状がよくなる患者さんもいます。
このように、心配や不安が先にある自律神経失調症には、「受容・支持・保証」がそのまま治療につながります。