休日をゆっくり過ごすためにゆるやかな計画性が大切
最後は「休日について」です。休日くらい何の予定も入れず、1日ダラダラ過ごしたい。そう思う人も多いでしょう。しかし、医者の立場からいって、その休日の過ごし方は最悪。疲れがとれるどころか、かえって疲労が増すことすらあります。
誤解しないでほしいのですが、なにも私は「休日も活動的に行動しなさい」といっているのではありません。家でゆっくり、のんびり過ごすのも大いにけっこうです。
ただし、そこに「ゆるやかな計画性」があることが大切です。平日に「睡眠の日」をとることが理想ですが、できない人も多いでしょう。
そんな人には「せめて休日は、目覚まし時計をかけず、眠りたいだけ眠ってください」声を大きくしたいと思います。それだけ聞くと、無計画な休日の過ごし方だと思うでしょうが、違います。
「目覚まし時計をかけずに眠る」という計画が立っていることが、とても大事な“のです。「なんだ、そんなことか」「詭弁じゃないか」と軽視しないでください。
繰り返しになりますが、現代人に必要で最大の目的は「ゆっくり生きること」です。そしてすでに述べたとおり、「ゆっくり生きる」には「安心こそ不可欠です。この「安心」というところに注目してください。
そもそも人間というのは「この先どうなってしまうのだろう?」という不安や「どうしてこんなことになってしまったのだろう?」という後悔によって、自律神経を大きく乱してしまいます。
交感神経が跳ね上がり、血管が収縮し、一種の緊張状態に陥ってしまいます。不安や後悔が体に直接悪影響を与えるのです。この状況を回避するのに必要なのが「計画性」。
休日ならば「ゆるやかな計画」でもいいでしょう。もし、あなたが無計画に休日を過ごし、なんとなく1日をダラダラ過ごしてしまったとします。そんな夜「明日からまた仕事だ」という時間になると、「ああ、今日も1日無駄に過ごしてしまったなぁ…」と後ろ向きな気持ちになります。
本来なら、安心し、リラックスして副交感神経が上がり、徐々に体が睡眠の準備を始める時間なのに、「いやぁ〜な気持ち」「ちょっとした後悔」が脳裏をよぎり、自律神経のバランスを崩してしまいます。どうせダラダラ過ごすなら、休日の前の夜から「明日は完壁にダラダラした1日を過ごす」と決めておくことが大事です。
人間とは不思議なもので「計画を立てた瞬間」、それだけでひと安心できます。そして、その計画がどんなものであれ、ある程度遂行されると「ああ、良かった」とさらにもうひと安心できます。
同じ「ダラダラした1日」でも、それが「計画されていたのか、そうでないの8か」によって、自分自身が抱く印象がまったく違ってしまうのです。
休日の中身は何でも構わないので「(ゆるやかにでも) 計画的に休日を過ごす」というスタイルをぜひとも取り入れてください。
リフレッシュパターン
計画的でさえあれば「1日中ダラダラ過ごす」のも構いません。しかし本当のことをいえば、40代、50代になって1日中ダラダラ過ごすと、たかえって疲れを溜め込む可能性が高い。これはぜひ覚えておいてください。
「若い頃は夕方まで眠れたのに、歳をとるとそうもいかない」という実感を持っている人も多いでしょう。眠りつづけるのも、ダラダラしつづけるのも、じつはけっこう体力がいるのです。目覚まし時計をかけないといっても、たいていは昼の12時前には起きてしまうもの。その際に、後の計画が立っていないと、結局はダラダラとした時間が続いてしまいます。
その「無計画なダラダラ」に陥らないためにも、自分なりの「リフレッシュ・パターン」を見つけておくことが大切です。
釣りにいくのでも、ショッピングに出かけるのでも構いません。自分が気持ちよく過ごせて、過度に疲れないパターンを見つけておけばOKです。
もちろん、それらも計画的に行うのがポイント。スケジュールをがっちり組んで、分刻みで行動する必要はありませんが、「夕方4時までに買い物は終わりにしよう」「2時間は○○を楽しもう」という程度の区切りは持っておくべきです。そのはうが安心して楽しめますし、変に疲労を溜めずに済みます。
自分なりのパワースポットを決めて、休日にはそこへ訪れるようにしています。パワースポットといっても、お気に入りのカフェだったり、ビルの屋上だったりするのですが、そこで本を読みながらコーヒーを飲んでいるのが最高のリフレッシュ・パターンなのです。
わざわざ数値を測らなくても、副交感神経が上がり、自律神経のバランスが整っていることを感じます。
気に入りのコースを散歩するのも良し、公園で午後のひと時を過ごすのも良し、友達と会っておしゃべりするのも良し。あなたにとってのリフレッシュ・パターンを持ち、計画的であることが、休日を上手に過ごすコツです。