自律神経のバランスはなぜ乱れてしまうのか?

自律神経の重要な部位となる視床下部

自分の意思にかかわりなく、自動的に生命活動を維持している自律神経ですが、交感神経と副交感神経の働きは、脳によってコントロールされています。
脳は、大きく「大脳皮質」「大脳辺縁系」「視床下部」に分けられます。

精神活動をつかさどる「大脳皮質」

「大脳皮質」大脳皮質は大脳の新しい皮質で、物事を知覚し、刺激やショックを記憶したり、さまざまな経験を蓄積して、外界からの刺激に対してどのように反応したらよいかを思考え判断する機能を持っています。
人類の進化とともに発達してきた部分で、高等な精神活動をつかさどっています。人間として生きていくために重要な知性や理性なども、この大脳皮質で生み出されます。

生命活動をつかさどる大脳辺縁系

大脳の古い皮質である大脳辺縁系には、食欲や性欲などの本能的欲求を生み出す働きと、外からの刺激に対して、怒りや快感などの情動(感情) で反応する働きがあります。人類の進化の初期の段階で形成された部分で、動物が生きていくうえで不可欠な生命活動をつかさどっています。

自律神経を支配する視床下部

大脳辺縁系の下方にある視床下部は、自律神経系の指令部(中枢) として、大脳辺緑系で生じた欲求や情動に応じて、直接、交感神経と副交感神経をコントロールしています。たとえば、単にぶつかりそうになったとき、大脳辺緑系は驚きや恐怖などの情動で反応します。すると視床下部は、自律神経の交感神経を興奮させ、心臓を高鳴らせたり、顔色を青ざめさせるなどの作用をします。
しばらくしてショックがおさまれば、自動的に副交感神経に切り替わり、心臓の高鳴りもおさまり、顔色も元に戻ります。睡眠や呼吸、体温なども、視床下部が自律神経を通してコントロールしています。そのほか、視床下部は脳下垂体に刺激を伝達してホルモン分泌にも大きな影響を与えています。

本能や欲求が抑えられると自律神経のバランスが乱れる

自律神経は、視床下部によってコントロールされていますが、その視床下部は大脳辺緑系に支配され、さらに大脳辺縁系は大脳皮質に支配されています。そのため、本能的な欲求や喜怒哀楽などの情動が大脳辺緑系で起こつたとしても、大脳皮質で生じた理性が強すぎて欲求や感情が抑えられると、大脳皮質と大脳辺緑系の間にひずみが生じます。
その影響で、大脳辺緑系と視床下部の間の伝達もスムーズにいかなくなり、視床下部は自律神経をうまくコントロールできなくなってしまいます。

不快な刺激が続くと交感神経優位で興奮状態も続く

驚きや恐怖などの不快な刺激を受けると、交感神経が興奮して動惇や発汗が起こります。刺激が一時的なものであれば、やがて自動的に副交感神経が働き、動悸や発汗も治まります。
しかし、不快な刺激が長時間続いたり、精神的な負担が大きすぎると、交感神経がつねに興奮したままの状態となり、しだいに視床下部のコントロール機能が低下していきます。その結果、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、体の内外からの刺激や情報に対して適切に反応することができなくなってしまいます。

不快な生活もNG

ふだん、私たちの体は、昼間の活動時間帯は交感神経が主に働き、夜の休息時間帯に副交感神経が主に働くようになっています。ですから、夜更かしや朝寝坊をするとこのリズムが狂ってしまいます。1~2 日くらいの夜更かしなら、間もなく元のリズムに戻りますが、受験勉強や仕事などで不規則な生活が長く続くと、視床下部のコントロール機能が損なわれ、自律神経の基本的なリズムが逆転してしまいます。休息すべき時間に交感神経が興奮してしまい、動悸や発汗などの症状が現れてきます。逆に、活動すべき時間に交感神経が正常に働かないため、息切れや疲労感などをもたらします。

ホルモンの異常も悪影響を及ぼす

視床下部は、ホルモン分泌とも深くかかわっています。大脳皮質からの刺激が大脳辺緑系を通して伝わってくると、視床下部が脳下垂体に指令を発し、脳下垂体がそれを受けてホルモンの分泌を増進させたり減少させたりする仕組みになっています。強いストレスを受けると、大脳皮質から不快な刺激が視床下部へと伝えられ、結果的にホルモン分泌に変化が起こります。ホルモンには体の機能を正常に維持する働きがあるため、分泌不良になると、自律神経もその影響を受け、バランスが乱されてしまいます。

ストレスとホルモン

ストレスがあると、アドレナリン、副腎皮質ステロイドホルモン、成長ホルモンなどは分泌が増進し、インスリンや性腺ホルモンなどは分泌が減少します。糖尿病や舌同血圧、胃潰瘍などの発症もこれらのホルモン分泌が影響しています。
女性は、ストレスがあると月経が乱れることがありますが、これもストレスによって、ホルモン分泌が乱れるからです。

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