本人の「治したい」気持ちが大切

前向きに治したい気持ちが重要

心療内科での治療は、症状を取り除くことだけが目的ではありません。家庭環境や生活パターン、社会環境など、多方面からアプローチして、病気の背後にある心の悩みや性格的な問題を見極め、それを克服したり、ストレス耐性を強くしたり、あるいは、過度の緊張や症状に対するこだわりを解くことが重視されます。
そのために心理療法が用いられます。そのほか、ライフスタイルを変えることで、生活リズムの乱れや環境面のひずみを正すことも大切になります。
実際、自律神経失調症は、身体的治療だけで治るものではありません。たとえば、「症状は取り除きたいけれど、今の生活や考え方、性格は変えられない」と思っているうちは、なかなかよくなりません。
ライフスタイルを見直し、自分の性格のゆがみや行動パターンを認識して、「病気を再び繰り返さないようになるための努力が必要である」ということを患者さん自身が納得しなければ、完全に治すことは困難です。また、重い病気ではないということで安心する患者さんもいますが、原因となっている心ち理的な問題を解決しなければ、真の治ゆ癒にたどりつくことはできません。
反対に、「ストレスくらいで病気になるなんて情けない」と落ち込んでしまう人もいます。しかし、現在の自分の状態と原因をよく理解して、「今後、ストレスにどう対処すればよいか」を積極的に考えていかなければ、ストレスを受けるたびに、同じような症状や別の症状が現われかねません。

医療モデルと成長モデル

心療内科での治療の最終的な目標は、症状を引き起こさない心身をつくること、あるいは症状があっても、自分でうまく処理・対応できる心身をつくることです。言い換えれば、患者さんの心身の成長が求められているわけで、この考え方を「成長モデル」といいます。これに対して、内科的・外科的治療を施し、症状が取れればそれでよいとする考え方を「医療モデル」といいます。
簡単にいえば、かぜをひいたときにかぜ薬をのむのは「医療モデル」の考え方で、かぜをひきにくい体をつくることが「成長モデル」の考え方です。
自律神経失調症は、医療モデル的な考え方だけで治すことは不可能な面があります。症状の裏に隠されている心理的・社会的要因の存在に、患者さん自身が気づくことが何よりも大切なのです。
そこから、本当の治療が始まるといえます。そして、その間題に積極的に立ち向かえるかどうかで、治療効果が大きく違ってきます。自分の病気をどのようにとらえ、どの程度よくなりたいと考えているかが、治療の鍵を握っているともいえます。
「きっと治す」という意思を持ち、心の成長を目指す人には、医師は協力を惜しみません。自律神経失調症の患者さんに求められるのは、そうした積極的な姿勢です。

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