不安感が強い人ほど協調性の隠れミノを必要としてしまう
自信がない人は「いい人」を演じてしまう
この頃、なんだか「よい子」が増えてきた気がしています。
- 言われたことは素直に聞き入れる
- 協調性がかなり高く周りに合わせることができる自分の欲求を抑え込んで、人にあわせ従うことができる
- 万一他人と対立しても自分自身を責めて後悔と反省の気持ちでいっぱいになる
- とても人に気をつかう
これらは一見、美点のように見えます。確かに、心の中の5人家族のバランスがとれている上で、時と場合に応じてそんな対応ができるのであれば、それは長所のひとつになるでしょう。
でも、その原因が、あなたのA C(順応する子ども=イイ子プリッ子) が他の家族よりも飛び抜けて高いところにあるとしたら問題です。
実は、そんなタイプの「よい子」が多いようなのです。従順で、気配りでき、長いものに抵抗なく巻かれる… … でも、それはやさしさや思いやり、道徳心などから生まれたものではなく、単に自分自身への自信のなさ、不安感から生まれたものではありませんか?他人に上入れてもらえないのが恐くて、「よい子」でいただけではありませんか?
人の目が気になって、無難に過ごしているだけではないでしょうか?これらはみな、自分でも気づかないうちに「よい子」でいることを隠れミノにして、自分でものを考えたり、行動したりすることを避けて、傷つかないように自分の殻に閉じこもっているだけにすぎません。
AC だけが極端に高いケースでは、最初はなんでも聞き入れてくれる許容力のある人だとよい方向に誤解されることがあっても、そのうちに社会性のなさや冷たさ、自主性のなさが目立ってくるようになります。
その結果、他人に頼ってばかりの人、判断力のない人というレッテルを張られてしまうのです。自分自身の価値観がないだけに、自信がなくなってしまいがちです。AC が高すぎた、こんな男性のケースを紹介しましょう。
Uさんは中小企業に勤務する25歳の営業マン。温厚な性格なのですが、大学卒業後3年たっても、いまだに仕事上のミスや大ポカが多く、上司から評価されないのはもちろん、新入社員にもバカにされているような気がして、会社に向かうと頭や胃が痛くなったり、仕事中も極度の倦怠感で口を開くのもおっくうになったりする症状が続くようになりました。
生気のない顔つきに暗い目をして、飼い主に捨てられて路頭に迷うペットのように精彩がなくおどおどし、「僕なんて、誰からも必要とされていないんです」と、そのままにしておいたら自殺でもしてしまいかねない風情でした。
エゴグラムをチェックしてみると、A C が20点満点という高い数値を示しましたが、その他はすべて3分の1以下の数値という極端な結果。仕事上でミスが多いのは、A(判断力のある大人) の低さにその原因があるようです。こういうタイプは従順なだけのイエスマンになりがちですから、仕事を押しっけられても断れない、でも能力がないために結果的にはこなしきれずに、責任を果たせないことになってしまいます。
また、わからないことも聞き返すことができないため、それが大きなミスにつながることも多かったようです。
Uさんの家庭環境を聞いてみると、母1人、子1人。会社経営者だった父親はじさんがまだ幼い頃に亡くなり、会社経営を引き継いだ母親に大切に育てられたといいます。
想像にすぎませんが、おそらく彼は、強いお母さんのくだす判断や指示に従って、従順な「いい子」でありつづけたのでしょう。
実社会に出て、Uさん自身の意志や判断で行動することが求められたとき、自己主張の仕方を学習していないじさんはとまどい、緊張し、劣等感を感じることの連続だったのかもしれません。会社で必要とされていないという思いから、すべてに自信をなくし、女性とつきあっても「自分となんかで満足できるはずがない」という思いにとらわれて、うまくいかなくなってしまうのだそうです。
U さんのような人に必要なのは、まずA を高める努力をすること。なんでも「はい」と従う前に、どうしてそうしたほうがよいのか常に考えるようにします。わからないことは「わからない」とはっきり言い、わかるように聞き返すことも大切です。
でも、一足飛びに判断力を身につけ、自己主張できるようになるのは無理ですから、日常的には次のようなことから実行してもらうことにしました。
1つは、仕事で人の話を聞くときには必ずメモを取り、後で必ず5W 1H (What〉W hen-Where-Why-W h0〉HOW) を検討すること。
2つめは、どんな小さなことでも「YES 」か「NO 」か、必ず答えること。
3つめは、1日に1回、ささいなことでよいから自分の主張を通すこと。これらをくり返すことで、やがては大きな決断や判断ができるようになっていくのです。そして、本当は自分はどうしたいのかがわかるようになり、それに従って行動することで周囲の見る目も変わって、自信を取り戻すことができるでしょう。
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