色は心にどんな影響があるのか

2024-10-25

色は心にどんな影響があるのか わたしたちは目で見ているだけでなく、肌でも色を見ている、と言ったら驚くでしょうか?

色は心にどんな影響があるのか 温度 時間 味覚 こんところまで色に影響を受けている

そればかりではなく、心でも色を見ていると言ったら…どうでしょう ?実感しているいないにかかわらず、生活のいろいろな場面で、わたしたちは目・肌‥ 心で色を識別し、感じとり、それを生かして暮らしています。

それを証明しているエピソードや実験結果などをアトランダムに紹介していきますが、「なるほど」とうなずけるものが多いのではないでしょうか。

たとえば肌で感じるとされている 温度 も色と深く関わっています。暖色、寒色という言い方をしますね。

実際に暑いときには青や緑の寒色系を身にまとうとスッキリすずしい気分がし、寒いときには暖かみを感じさせてくれる赤やオレンジの暖色系を身につけることが多いのを、経験上、わたしたちは知っています。気分的な問題だけではなく、実際に皮膚にはセンサーがあって、色から温度を感じとるのだという、次のような実験結果もあるのです。

赤い部屋と青い部屋をつくり、そこの温度や湿度は快適に、一定に保っておきます。そして実験の対象になる人には部屋の色を教えずに、目隠しをして、それぞれの部屋の真ん中に15分ずつ、座ってもらいます。

赤い部屋では、その人は「暑い」「息苦しい」を連発。実際に皮膚の温度は上がり、脳波も覚醒状態に出るベータ波になったそうです。

ところが休憩後、青い部屋に座ってもらうと、「涼しくて気分がよい」と皮膚の温度にも変化はみられず、脳波もぽんやり目覚めた状態のアルファ波が主流で、うとうと状態で出るシータ波もところどころに現れたのだそうです。

皮膚が、赤と青にみごとに反応したわけですね。また、「時間感覚」も色に左右されるもののひとつです。

暖色系の部屋では時間がたつのが長く感じるのに、寒色系の部屋では短く感じると言われます。ですから好きな人と一緒にいる部屋などは暖色系に、単純な作業にあけくれする工場などは寒色系にしたほうが、快適に時間の経過を感じるわけですね。

結婚式場の真紅のじゅうたんは、おめでたい色であると同時に、短時間にてきばき式が進行するわりにはゆったりと時間が流れるように感じさせる効果があるわけです。結果的には、式場の回転率を早めるという働きもしていると言えるでしょう。

そして「味覚」。これもみごとに色の影響を受けています。料理の彩りの美しさが食欲をそそるといいますが、それ以前にわたしたちの脳は色で味を決めているようなのです。

こんな楽しい「いかさまテスト」と呼ばれる実験があります。目隠しをして、鼻を固くつまんで、リンゴの銘柄を当ててもらうのですが… 。

ちょっと気の毒ですが、ここで生のじゃがいもを出すと、おいしそうに食べることに、まずビックリします。「インドリンゴかな?」などと答えてくれます。生のリンゴとじやがいもは、味覚だけではまず区別することが不可能なのです。もちろん食べ物の味は五感すべてで感じとるものですが、視覚の働きがなんと9割近くを占めているのだそうです。

さて、こんなにたくさんの働きをする色は、当然、わたしたちの「心」にも多大な影響を与えています。人の生死を左右する次のようなケースもあるのですから、たかが色じゃないか、とおろそかにはできません。

ロンドンのブラックフライヤーズ橋は、長年、自殺の名所と言われていました。立て札を立てても見回りの回数を増やしてもムダでした。自殺する人は引きもきりません。ところが、いかにも憂うつでいかめしい雰囲気の黒い鉄橋を、明るい緑に塗り替えたところ、自殺者は3分の1に減ったのです!

緑はやすらぎを与える色と言いますが、重い心をなぐさめて最後の一歩を踏みとどまらせる力を持っていたのですね。

また「妻を替える前に、室内の色彩を変えろ」という楽しい名言(?) をはいた、アメリのチェスキンという色彩学者がいます。

彼の著書には、抑うつ症の妻を抱えていた夫の話が登場します。彼は色彩専門家の勧めに従ってアパートの部屋の壁紙を張り替えることにしたのです。それまで寒色系だったのを赤やオレンジに変え、室内のアクセサリー(花びん、.絵など) も少しずつ変えていったところ、だんだん妻も関心を持ち始め、1ヶ月ほど過ぎた頃には妻は明るくほがらかに変身をとげたということなのです。

室内の色彩設計は、心の健康を大きく左右すると言えます。色がこんなに心に影響を与えるのなら、心の動きを表すために積極的に色を使うことだって、できそうな気がします。

「忍ぶれど色に出にけりわが恋は… 」という恋の歌は、言葉にはしなくても、赤らめた頼やしぐさ、場合によっては服の色などのすべてで、愛の告白をしているのかもしれません。

たとえば積極的に好意を示したいときはピンクや貴色系、それとなくガードを固めたいときは白や紺を身につけるなど、色は立派なコミュニケーションの道具になるのです。この他にも、色は、痛みをとってくれたり、性格を変えてくれたり、人を引き寄せたり、人間の心とからだにたくさんの作用を及ぼすことがわかっています。自分を変えたいと思うのなら、ぜひ、この色の力を効果的に活用しましょう!