心体を癒す色

心体を癒す色 はどんな色でしょうか?からだがだるくて少し熱っぽいかな、というようなときに、赤やピンクのエネルギッシュな色の服はなんとなく身につけたくない気持ちになりませんか?

たしかに色は、生体に生理的な影響を与えます。色の明るさや温かさは、自律神経を刺激するため、赤系の色は血圧を上げるという実験結果もあります。ではなぜ、わたしたちの生体は色に反応するのでしょう?

白い下着 が健康にいい理由

有名なイギリスの物理学者ニュートンが「色彩は光そのものである」という言葉を残していますが、色と光は本来同じものです。

光のうち、目で識別できるものを色と呼んでいるにすぎません。生体は光の波長に、さまぎまな形で反応します。光の波長によって(つまり、色によって) 筋肉が弛緩したり緊張したりするというデータもあるほどです。

トマトのこんな実験をご存じでしょうか?まだ熟していない緑のトマトに、白、赤、黒の三種類の布をかけて育ててみます。布のかかっていない他の緑のトマトが熟した頃に布をとってみると、さあどうなったと思いますか?

白い布をかけていたトマトはほどよく完熟していましたが、赤は熟しすぎて腐りかけ、黒は緑のまましぼんでしまっていたのです。

これは、白い布は生命体が必要とする光を通してトマトに伝え、逆に黒は布がすべて吸収して遮断してしまい、赤は必要以上の光をトマトに伝えすぎてしまった、と言うことができます。

アラブの女性が黒い服とベールをまとって、強烈な太陽光線から身を守っているのは、とても理にかなったことなのですね。

ところが、からだに害を与えるほどの太陽光線が降りそそがない日本のような国で、このトマトを人間のからだに置きかえて考えてみたら、どうでしょう。黒っぼい服ばかりを着続けていたら、黒い布のトマトのように生気がなくなって老けこみ、肌がシワシワになってくるのではないでしょうか。

黒い下着は人を病気にし、白い下着は健康にするというのは、このあたりに根拠がありそうです。白い衣服は、からだが必要とするすべての色波長を伝えますから、カゼなどをひいたときは、素肌に白いシャツや寝間着を着るのも効果的。はやく治ると言われます。

健康を維持したいなら、白い下着が一番、ということになりますね。では、心やからだを癒すために、積極的に取り入れたいのは、どんな色でしょうか。

40歳のFさんはフリーの女性編集者。実は「ピンクの呼吸で若返るという説をためしてみませんか? と、わたし流の「色の呼吸法」をつくり上げる際に協力をお願いしたのです。

ところが、ピンクの呼吸を始めてもらって3週間後、こんな電話がありました。

「ごめんなさい。ピンクの呼吸を続けられません。ひどいカゼをひいた後、気管支が軽い炎症を起こしていて、ピンクの呼吸をするたびに咳き込んでしまうんです」

これは、ピンクの呼吸でからだが温まり、細胞が活性化した証拠なのですが、しばらくは休んだほうがよさそうです。ブルー系の色を呼吸することを勧めたところ、

「青緑をイメージしたら呼吸が楽になって、寝つきもよくなりました」と報告がありました。青はその冷たさで炎症をおさえ、神経の興奮を静めて心身をリラックスさせ、眠りをうながす色なのです。不眠症の人には、ブルー系の寝具や青っぽい色が役に立つでしょう。

また、やや横道にそれますが、青緑は肥満を解消する色だと言います。これを毎日、呼吸しているF さんに、電話で「最近、痩せたんじゃない?」と聞くと、「会っていないのに、どうしてわかるの?」ととても驚かれました。

体重にはさほど変化はないものの、最近よく、趣味のダンスの仲間に「ひきしまった」と言われるのだそうです。「青緑の草原に、スゥーツと風に吹かれて立っている自分の姿をイメージして呼吸していました。

その中のわたしを少し痩せさせておいたせいかしら」よかったですね。

青がアトピー性の皮膚炎の治療に効果があった、こんな例もあります。E さんのお子さんは3歳。からだが温まるなどの刺激があると猛烈にかゆくなるらしく、いろいろな治療や薬もためしたのですが、なかなかよくなりません。

本人以上に、見ているE さんもつらそうでした。3歳の子どもに呼吸法を指導してもムリでしょうから、Eさんに色の持つ不思議な力やその効果の話をし、なるべく青い色の洋服を着せたり、寝具も青っぽい色に変えてもらいました。

そして、子どもがかゆさでグズったときや寝つけないときに、E さんが青い色の呼吸をして、青い色を子どもに吹きかけ、包んであげるようにイメージしてもらいました。

少し不安そうだったE さんですが、ほどなく明るい表情で、徐々に快方に向かっていると報告がありました。やはり、効果はあったのです!この他にも、「緑 は名医」と言われており、実際に緑色の光が、やけどや潰瘍の治療に有効だったという病院の症例もあります。自然に人を癒す力があると言われるのは、実は木々の緑や、水や空の青、太陽の光のパワーをさすのでしょう。ときには自然の中にからだを投げ出すこと…これが一番の健康法かもしれません。