マイナスを覆す 逆転の法則

2021-03-27

これは、当たり前ですが、100人の人間がいたら、人生も100通り。ひとつとして同じ人生は存在しないから、この世はおもしろいのだと思います。

でも、その数え切れないほどの人生にも、いくつかの大きな流れ、ある種の法則のようなものがあることに気づいている人も多いはずです。

幸せ、不幸はいつも背中合わせ

多くの人の経験則に基づいて語り伝えられてきたこと、たとえば「ことわざ」などの中に、その法則が見え隠れしているような気がします。

「温故知新」というのは、昔の物事を研究・吟味して、そこから新しい知識やものの見方を見つけましょう、という意味です。古くからの言い伝えや、長い人生の経験者の言うことが、すべて正しく、現代にもあてはまるとは思いませんが、参考にできることは、たくさんあるでしょう。よ

よく言われますが、器の中の水は、自分のほうへ寄せようとすると逃げていき、逆に相手のほうへ差し向けようとすると自分のほうに戻ってくるものです。

それと同じ原理で、人生にも、やっきになって頑張ってみてもうまくいかないことが多いものです。こんなときには、一瞬力を抜いてみましょう。

心のゆとりが、思いがけないチャンスにめぐり合わせてくれたり、予想もしなかったプラス方向に導いてくれることもあるようです。頑張れば頑張るほど空回りして疲れ果てたときに、この法則を思い出せば、ずいぶん心が軽くなるはずです。

また、自分を不幸せだと感じやすい人は、こんな法則を覚えておきましょう。それは、どんな人の人生にも、幸せと不幸せは背中あわせに同居しているということです、

たまたま目の前に見えている不幸せばかりを見つめていると、裏に隠れている幸せを見過ごしてしまいます。

「人間万事、塞翁が馬」ということわざがありますが、中国の老翁とその飼い馬にまつわる話がもとになっています。

これは、ぁる日、老翁の飼い馬がいなくなってしまい、村人が気の毒がると、翁は「なに、今によいことがあるよ」と平気な顔。すると、、数カ月後にその馬が駿馬をつれて帰ってきたので、今度は村人が「よかった、運のいいことだ」と喜ぶと、翁は「いや、悪いことが起こるかもしれないよ」と喜ぶ風でもない。そのうち息子がその駿馬に乗って落馬し、足が不自由になった。

ところが、戦争が起こって、周りの若者はみな連れていかれて戦死したが、老翁の息子は徴兵をまぬかれて助かった 。

このように、人生の幸・不幸は前もってわからないものだから、そのたびに喜んだり悲しんだりすることはありませんよ、という意味なのです。もっとも、わたし自身は、よいことがあったときには思いきり喜ぶようにし、悪いことが起きたときだけこのことわざを思い出すようにしています 。

この事・不幸と同じように、成功と失敗もまた背中あわせだと言うのが「失敗は成功の母」。失敗しても、それを反省して改めていけば、かえって成功するという法則です。

たとえば、お店のサービスなどについてお客様からクレームがついたとき、ただ謝るだけでは失敗は失敗のままです。でも、徹底的にその原因を調べ、それをお客様にも報告して、誠心誠意、心をこめて謝罪し、二度と同じミスをしないように対処したとします。

すると、その後の仕事内容がグレードアップするばかりか、そのお客様が誠意にうたれて逆にお店のファンになった、そんなことも実際にあるのです。

また、突然上司に呼びつけられて、あなたの部下のミスを指摘され、「どうしてこんなことになるまで気づかなかったんだ」とひどく叱責されてしまったときなど、責任のがれの言い訳をしたり、後で部下を責めたりしていませんか?そんなときは、自分の指示に問題がなかったかどうかも含めて、原因をこまかくチェックすべきです. そし てととことん話し合って、ミスをフォローします。

頭ごなしに叱ったのではかえって反発しがちな部下も、ミスに一緒に対処することをきっかけに親近感を覚えてくれたり、信頼感を持ってくれたり、その後の能率アップにもつながるかもしれません。ミスをきっかけに、あなた自身も部下も成長し、職場の人間関係を好転させることもできるのです。

矢数したときこそチャンス! この法則を生かして、マイナスから生まれるメリットを大いに活用してください。このように、いくつかの人生の法則を頭の引き出しにインプットしておいて、必要に応じて取り出すと、気持ちの切り替え方が上手になります。

でも、人生の法則のお手本とも言えることわざも、かなりいいかげんじゃないか、たとえば、「果報は寝て待て」と「まかぬ種は生えぬ」、「正直は一生の宝」と「正直者が馬鹿を見る」などと、全く逆の内容のものがたくさんあるよ、と言う人、よいところに気づきましたね。

「逆もまた真なり」です。けれども「逆はまた真ならず」とも言いますね。

堂々めぐりのようですが、どちらも本当なのだと思います。要するに、そのときどきの状況にあった法則をうまく取り入れるのが、人生をリラックスして生きるコツなのです。