ベストは尽くすが、精根は尽くさないのが心の疲れを防ぐ

2024-10-25

日本人は、とても働き者だと言われます。 ベストは尽くすが、精根は尽くさないのが心の疲れを防ぐ という生き方が苦手です。日本人のその国民性のせいか、外国ではかえって敬遠されることもあるようですが、経済大国・日本は、その働きによって支えられてきたと言えそうです。

ベストは尽くすが、精根は尽くさないのが心の疲れを防ぐとは? どんなタイプがダウンしやすいか

夫があまりにも仕事熱心なために、家庭を省みず、それが離婚の大きな原因になっているというケースが、日本人にはとても多いです。

また、働き盛りの人の「突然死」や「過労死」が、大きな社会問題になりつつありますね。あなたは、大丈夫ですか?心とからだは疲れていませんか>困ったことに、仕事はとてもやりがいのあるものです。達成の意欲にかられて、どんどんのめりこんでいく気持ちは、男女ともにわかりやすいものです。

ましてや、報酬のためだけでなく「誇りと情熱」を持って一生懸命仕事に取り組む素晴らしさ! 仕事は大切で魅力的な人生のパートナーのひとつです。でも! それがすべてになってはいませんか?仕事の中にあなた自身を埋没させていて、それでハツラツとしているのならまだしも、逃げ込んでいるようなところはないでしょうか?

もしそうなら、たいへんです。アメリカの心臓学者、ローゼンマン博士とフリードマン博士は、心筋梗塞や突然死など、心臓病を病む人には大きな特徴があることに気づきました。

そして、その人たちを2年間にゎたり調査した結果、次のような共通点があることがわかったのです。

几帳面、責任感が強い、敵対心や攻撃心が強い、完壁癖がある、侵略的、時間を最優先する、一度にいくつかのことを同時進行する、せっかち、心配症など。

そして、それらの人々を「タイプA (AGGRESSLV E) = A 型人間」と名づけました。

これに対して、いつも平静を保ち、ペースが比較的ゆったりとしていて、敵対心が少ない人( つまり、ふつうの人々) をタイプB と名づけたのです。企業内戦士、モーレツ社員などと呼ばれているサラリーマンは、みんなこの「タイプA ‖A 型人間」にあたり、日本では出世街道を突っ走るエリートとして評価されているのではないでしょうか。

なんだかまわりに、けっこう多いタイプのように思われます。さて、ニ見、出世しそうに見える「A 型人間」ですが、ちょっと意外なことにトップまで昇りつめることはたうへん少ないのです。

その答えはとても簡単。途中でからだをこわして、結果的に挫折してしまうからです。心の中がいつも噴火状態なのですから、心臓に負担がかからないわけがありません。さらに、胃にも穴が開くばかりか、突然死する可能性すら高いのです。

強い緊張やストレスがからだにどんな影響を与えるかについては、こんなお話をご存じでしょうか。

今世紀初めの、アメリカ・ニューヨークのトム少年、9歳のお話です。煮えたぎつたスープを飲んでのどを焼いた彼は、しばらく口からものを食べられなくなったため、お腹に穴を開け、直接胃に管を入れて、流動食を流し込むという治療を受けました。

ところが途中で様態が急変し、そうこうするうちに管を入れたままの状態で成人して、お腹に穴が開いたまま(もちろん、ふだんは筋肉の力などで閉じています) になってしまったのです。その穴からは、胃の表面がよく見えました。

そこで彼は、勤めた病院で医学的な観察の対象になったのです。おびえたり恐怖を感じたりすると、彼の胃の表面は真っ青になります。また、2日間寝なかったときには、真っ赤に腫れて潰瘍ができたのだそうです。

胃が心の悲鳴をみんな反映していたのですね。「胃は第二の顔」と言われるゆえんです。また、緊張したり腹を立てたり、マイナスの感情に心を支配されると、血液が青黒くなり、からだの抵抗能力が落ちて病気になりやすくなると言われます。

ある日の午後、わたしは友人のひとりであるT さんを見舞いました。彼は、大手企業の中間管理職で、連日の激務に心臓を悪くして倒れ、入院していたのです。典型的な「A 型人間」のT さんに「とうとう、へばったのね」と軽口をたたきましたら、「仕事はとてもきつかったけれど、やりがいがあった。

でも、頑張りすぎてこんな結果になってしまいましたよ。いつも放ったらかしにしていた家族のありがたさが、つくづく身にしみました。

今度は、もう少しゆとりを持って働くつもりです」と、いつになく神妙な顔つきで答えが返ってきました。仕事はベストを尽くすべきだ、とは思います。でも、自分の命をすり減らしてまで働く必要はないはずです。

「A 型人間」の人に言いたいのは、「そんなに早く死にたいの?」ということ。たとえば「あいつにだけは負けたくない」という発想は、相手が主役で自分は脇役というスタンスから生まれるものです。自分の人生は、自分が主役! たまには仕事のスイッチをオフにして、心とからだにエネルギーをチャージしてあげましょう。