気がつくとしゃべりすぎている
相手が「聞いて欲しい」ことを逃していませんか
もしかしたら、あなたは「立て板に水」のような話し方をしていませんか?こんな風に話せたりセールストークができればいいな、と思ってはいませんか?
でも聞くほうもエネルギーが必要で、けっこう疲れることもあるのに気づいていますか。
また、人の話の腰を折ったり、さえぎったりすることがありませんか?
たとえば、部下の報告などを最後まで聞く前に「わかった、なんとか善処しょう」などと、一見ものわかりよく対処してはいませんか?
これらは、NGです。どんな人でも、本当は自分の考えていることや感じていることを「聞いてほしい」と思っているのです。
一方的にとうとうと話したり、こちらの話をさえぎる人には、だんだんと不満がふくれあがり、不信感さえ募りかねません。「話し上手は聞き上手」という言葉がありますね。これは、本当に話のうまい人は、人の話に耳を傾けることのできる人だ、自分の話すことを人によく聞いてもらう方法を会得するためには、聞くほうの身になってみることも必要だ、という意味です。
漢字で書くなら「聞く」よりも「聴く」のほうがニュアンスが近いでしょう。音声が自然に耳に入る「聞く」に対して、意志を持って受け入れるのが「聴く」ということです。
人の心をつかむ大きなコツは、相手が「しやぺりたい- 聴いてほしい」ことをしっかりと受け止めること。すると「○○さんは、わたしの話をよく聴いてくれた」と満足してもらえ、あなたへの信頼感と好感度がグッと高まるのです。
そして、そんなあなたの対応が、すべての面で必ずプラスに働き、人間関係も仕事も円滑に運ぶことと思います。
反対に、いったんしゃばりだすと、どんどんエスカレートして相手を無視してしゃべり過ぎ、人間関係にもひびいて、その結果うつ病になってしまったという人もいるのです。
Dさんは43歳の専業主婦。小学校5年生の女の子がいます。彼女はもともと几帳面で、よい妻、よい母親であろうという気持ちがとても強く、良妻賢母風のどちらかといえばもの静かな方でした。
ところが、ある日、学校からDさんの子どもがイジメられたという連絡が入り、そのときを境にD さんは一変したのです。怒りが言葉になってあふれ出て、イジメた子の親にくってかかる、先生に監督不行き届きだと怒鳴りまくる、
それは「これまで抑えていた自分の感情がセーブできなくなった」ように、感情も言葉もエスカレートしていたと言います。
毎日のようにそんなことをくり返し、あげくの果てに緊張が高まりすぎて眠れなくなり、翌日ますますビリビリしてますます相手をなじり、家族にまであたり散らすようになる…
D さん自身もダウンしましたが、そうまでして守っているつもりだった子どもも、逆に学校に通うのがつらくなるような状況に追い込まれてしまったのです。
ほんのひと呼吸おいて、相手や自分の子どもの言葉を「聴こう」としていたら、ここまでエスカレートすることはなかったかもしれません。
彼女は現在、カウンセリング中です。さて、あなたが「話をする」ことで成り立っている仕事、たとえば営業などをしている場合にも、実はこの「聴く」ことが重要な役割を果たしているのです。
わたしは以前、一流の営業マンで、常にトップ・セールスを行っているという人に、その秘訣を尋ねたことがあります。答えは、「秘訣と言えるかどうか。ただ、自分自身はけっして器用に話せるほうではありませんので、商品の話を最初からアピールすることは避けています。
何度か通ってお客様の話を興味深く聴かせていただき、その中にきっかけを見つけて商談をすべりこませるようにしています」というものでした。
一概には言えませんが、もしかしたらセールス・トークに磨きをかけるよりも、お客様の話を聴くことにエネルギーを傾けた方が、業績が上がる結果になるのかもしれません。
そう言えば、講演に行ったある一流会社の「セールスマン」は、「話は毛穴で聞け」「傾聴は愛」だったことが印象に残っています。
また、自分が「聴き下手」だと思う方は、次にあげる2つのポイントだけでも、ぜひ実行してみてください。
ひとつは「話を聴くときは相手の「Ⅴ ゾーン」を見る」こと。「Ⅴ ゾーン」というのは、首からネクタイにかけての襟もとあたりのことです。
「目を見る」のは、とても緊張してエ」ネルギーを消耗するもの。Ⅴ ゾーンに視点を少しズラしても、相手は目を見られていると感〃じるので、あがりやすい人には特にお勧めします。
そして「ときどき相づちを打つ」こと。相づちは、相手の話をしっかり受け止めているというサインを送るということです。
気のきいた受け答えをしようと気負わなくても、適度なりタイミングで「そうですね」「なるほど」などと口に出すだけで十分です。
軽くうなずくのも、同じ役割を果たします。最後に、おしゃべりすぎる人へのメッセージです 。わたしたちには口が1つしかないのに、耳は倍の2つあるのはなぜだと思いますか?
それは、神様が「話すことの2倍、聴くようにしなさい」という意味で、人間を造られたからではないでしょうか。
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