いいかげん=良いかげん
必死になればなるほどうまくいかなくなるのは?
物事はまじめにやればやるほどうまくいかないことがあります。こんなに真剣に向き合って真正面からぶつかっているのになぜか?はぐらかされているようにうまくいかないことがありますね。
「あなたって、いいかげんな人だね」と言われて落ち込んだことはありませんか?または「あの人はなんていいかげんな人なのだろう」と腹立たしく思うことはありませんか?
この場合の「いいかげん」とは「無責任」という意味で、たいていは良い意味に使われません。しかし、この言葉にはもうひとつ「よい程あい」という意味もあるのです。つまり「いいかげん」は「良いかげん」なのだとも言えるのですね。
囲碁に親しんでいる方はよくご存じでしょうが、囲碁ではこの「いいかげん」の精神がとても大事だとされています。
囲碁では、自分と相手が交互に白と黒の石をひとつずつ置いていき、各々の石で囲った地盤、陣地の広さで勝負が決まります。
このとき相手を「攻める」目的で置いた石が、同時に自分を「守る」ことにもなるのが囲碁のおもしろさなのだそうです。
つまり、欲張って自分の陣地を広げようとし、相手を攻めすぎると、同時に自分の弱いところを作ることになります。だから、攻めも守りもほどほどにして、陣地を確保できる「いいかげ」 のところに石を置き、最終的に広い地盤を確保するのがよい勝ち方なのだそうです。
これは、わたしたちの人生にもあてはまるのではないでしょうか。悩んで苦しむ方は、多くが「完壁性」で「他人が自分をどう評価するか」をもっとも気にすることです。
そんなタイプの人が、負担がかかりすぎてやがて心身にひずみが生じやすいのは、まぎれもない事実です。
仕事の上ではノルマを達成するのはあたりまえなのでしょうが、それをいつも実行できる能力のある人は、いったい全体の何%くらいるでしょうか。一生懸命やって、どうしても目標が達成できなかったとしても、自分なりにべストを尽くしたのだったら、それなりの充実感や満足感は得られたはず。次の機会にまた、頑張ればよいのです。
いつまでも「できなかった」というマイナスの気持ちを引きずっていても、ますます事態は悪い方向に転がっていくだけで、なんの利益もありません。どんなことでも「完全無欠」なんて、ありえないことなんですから。すべてが思うように運ばないのが現実です。「こんなはずではなかった」「もっとできるはずだ」とこり固まった頭で考えていてもうまくいくはずがありません。
むしろ、肩の力を抜いていたときのほうが、いい結果が出たりするのです。また一見、矛盾することのように思えますが、気力や体力は、頑張りよりもむしろリラックスから生まれることをご存じでしょうか?
ものごとをパーフェクトにこなさなければ気がすまない、人並みはずれて几帳面だ、または人よりも緊張しやすいという人に贈りたいのは「努力逆転」という言葉。これは「一生懸命になればなるほど失敗してしまう」という意味なのですが、つまり、いつも肩に力を入れていては、なにをやっても本来の力を発揮できない。そればかりか、思ってもいないマイナス方向へものごとが進行してしまいやすいということです。
欲張りすぎて完壁を目指すと、どこかに無理が生じるものです。その無理を重ねていけば、結局人生が台無しになってしまいかねません。そしてもうひとつ、リラックスが「人間の魅力」を引き出すための大きな力になっていることをご存じですか?
周囲を見まわすと、同じ年齢なのに「若々しくてキラキラ輝いている人」と、その反対に「なんとなく精彩がなく、老けて見える人」がいるでしょう。
ルックスのよしあしは関係ありません。内面からの輝きとしか言いようがありません。では、なぜそんなに差があるのかとわたしなりに観察してみたところ、若々しくはつらつとした人たちには共通の特性があることがわかりました。それは、「フレキシブルな考え方ができて好奇心が強い」こと、「みずみずしい感受性と行動力がある」こと、「自分の目標を持ち、そのための努力をおしまない」こと、「前向きで積極的な考え方ができる」こと、などです。
そして、これらの最後にぜひつけ加えたいのは、「頑張りすぎない」ことと「緊張が少ない」こと。つまり、リラックスしてのびのびと生きている、ということなのです。ここまで読んで「よおし、キラキラと輝く人になるゾ、そのためにはリラックスだな」と意気込んだ人はいませんか?
ほら、もう肩に力が入ってしまっています。大きく息を吐いて、力を抜いてみましょう。さぁ、ここで最初の言葉を思い出してください。
『いいかげん=良いかげん』70% くらいの力でリラックスして生きることが、「好い加減」の人生につながります。
人生に起きる良いことや悪いこと、成功や失敗のバランスは、最終的にはどこかでつじつまがあうものです。「けっこう幸せだな」と思える人が、本当はいちばん幸せなのかもしれません。
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